<テレビウォッチ>安全性が重視されるはずの航空機の座席で、耐火性や強度の検査記録を20年にわたってねつ造・改ざんし、不正が繰り返されていたことが発覚した。
航空機の座席15万席
番組のオープニングトークで小倉智昭キャスターが取り上げたが、スタジオでは「あまりにも悪質ですね」など批判が噴出した。ねつ造・改ざんを行っていたのは、車の照明器具メーカーの小糸製作所の子会社、小糸工業(横浜市、掛川隆社長)。
小倉の説明によると、内部告発によって事実を把握した国交省が2月8日、掛川社長を呼んで業務改善の勧告を出したという。
それによると不正は、例えば胴体着陸時の重荷重試験では必要な16G(重力)に及ばないのにコンピューターの数値をねつ造したり、耐火性の実験でも偽装するなど、検査書類のねつ造・改ざんを行っていた。
航空機用の座席製造では日本最大で、日本航空で所有機の45%、3万席、全日空で50%、2万6000席で使われている。
世界でのシェアは4%だが、ボーイングやエアバスの座席に使われその数は24か国、32の航空会社で1000機、15万席で使われている。
人の命預かる自覚が…
国交省では通常の運行に問題はないとしているが、出荷済みの全座席の再試験を同社に指示。基準に達しない座席が見つかれば改修させることにしており、ダイヤに支障が出る恐れもあるという。
マンッションの耐震設計偽装を連想させる悪質さ。しかも国際問題に発展する可能性も。
小倉は「技術大国・ニッポンの代表的なトヨタの車で不安を与えたばかり。今度は……日本にとっては残念なニュース」と冷静なコメントを。呼応した笠井アナは「あまりにも悪質です」と怒る。
続けて竹田圭吾(ニューズウィーク日本語版編集長)も「人の命を預かっている自覚が足りない」と怒りを。さらに渡辺満里奈(タレント)も「残念というか、こういうニュースを聞くとものすごく怖くなって……命を預かっている自覚をちゃんと持ってほしい」と、批判が相次いだ。
技術立国で成長を目指そうとしている矢先の安全性データのねつ造・改ざん。『横綱の品格』などと大騒ぎするのとは次元が違う。日本の品格、信用失墜がどれほどか、計り知れない。