<テレビウォッチ>トヨタの看板車種ハイブリッド車の『新型プリウス』(2010年モデル)で、「ブレーキが効かない時がある」という多数の苦情が日米で発生している。
違和感の原因
この日の番組(2月5日)では笠井アナが、この苦情にトヨタの横山裕行常務が4日に行った緊急記者会見を取り上げた。
そこで横山常務が強調したのは、微妙な感覚のずれであって、『新型プリウス』は欠陥車でないと。しかし、どう考えても車の安全に対するトヨタの『感覚』が少しズレているのでは、との印象が……
以下、会見の中身を。この『新型プリウス』のブレーキ不具合に関して日本では、国交省に60件、トヨタにも77件の苦情が寄せられているという。
で、まず横山常務は「いろいろなお客様から『指摘』をいただいていますが、ブレーキを踏みだせば安全に車を止めることができます」と、『苦情』を『指摘』に置き換え、欠陥車両でないとの認識を明らかに。
こうした横山常務の慎重な言い回しは、会見中『不具合』という言葉を一切使わず、『現象』という言葉に置き換えるほど。
ならば何故ドライバーが苦情を寄せるのか?? については……
「お客様の感覚と車両の挙動が少しズレていることによって、お客様が違和感を感じられると認識しておりました」
改良には着手
番組で聞いたドライバーの体験した『違和感』とは……
「平坦の道でゆっくり走っていてブレーキを踏んでも、思うように止まらない。このくらいで止まるかなと思っていたのに後ろから押されている感じがする」
『新型プリウス』のブレーキの仕組みは、普通車は油圧ブレーキで制御しているが、ハイブリッド車の場合は油圧ブレーキと回生ブレーキの2つを使ってコンピューターで制御している。
回生ブレーキを使うのは、ドライバーが制動をかける力で、モーターによってエネルギーを蓄積し、省エネ効果だすためという。
ところが、低速時にブレーキをかけると、回生ブレーキから油圧ブレーキに切り替わる瞬間に1秒未満のタイムラグが生る。
そのタイムラグが、ドライバーの効き具合の期待値にズレがあり、効かないと思ってしまうのだという。
ただトヨタでは、1月から設計を見直し、このタイムラグを短くする改良に着手している。
小倉は「感覚のズレを強調するなら改良しなくてもいいんじゃないですか?」と。
これに笠井が「そこなんですよ~、トヨタは許される範囲と思っていたが、客の声があれば改善する。品質を高めることで、苦情隠しではないと」。
こうしたトヨタの強調について笠井は「アメリカでリコール問題が発生し、簡単に謝らない方がいいという高度な経営判断があるのかもしれません」と推測している。
しかし、桜美林大大学院教授の諸星裕は「ブレーキは1番大事なところ。普段慣れている感覚と違った感覚が出てくるのは、どう考えてもお客のほうが正しい」と。