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<パブリック・エネミーズ>1930年代のアメリカ。世界的な恐慌に見舞われたこの時代に、大胆不敵且つスマートに銀行から大金を強奪し、世間の一部から義賊としてもてはやされた男がいた。彼の名はジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)。
晩年を描く
警察からは『社会の敵(=パブリック・エネミー)』というレッテルを貼られるが、デリンジャーは立場的に弱い民間人から金を奪うようなことはしなかった。逮捕されては幾度となく脱獄し、再び銀行を襲う。その不敵で華麗なまでの犯行スタイルに、民衆は魅了されたのだろう。本作はデリンジャーが愛した女性・ビリー(マリオン・コティヤール)とのロマンスを折り混じえながら、逃避行に明け暮れた彼の晩年を描いている。
ジョン・デリンジャーという男は伝説的アウトローであり、彼に関する逸話は今も数多く残され、本作以外にも映画がいくつか作られている。しかし残念なことに、日本人には馴染みが薄い人物で、劇中でもデリンジャー自身や、彼のバック・グラウンドなどのはっきりとした描写がない為に、人物像が少々掴みにくいかも知れない。
だがそこはやはりジョニデ。『銀幕の』デリンジャーは、たちまち観客を虜にする。愛した女の為なら命を張り、倒れた仲間は見捨てない男として描かれている。そんな役所に、「世界一セクシーな俳優」の称号を持つジョニー・デップがハマらないはずがない。どんな役でもまんまとモノにしてしまう、当代切っての俳優にかかれば、「さすがにこれは……」と思ってしまうほどのクッサイ台詞でも、何ひとつ違和感はないのだ。