<テレビウォッチ>八ッ場ダムには、これまで語られなかった災害の可能性がある、という井口成人のちょっと珍しいリポート。何かというと、地滑りだという。
国交省は「因果関係まだ…」
専門家は、「この地域は地滑りのデパートといえる。種類が多いのと数が多いこと。浅間山の噴出物のためで、危険度の高い地域だ」という。しかしそれが実際に起こるのは、ダムができてから、というのだから、話はややこしい。
井口は、その地滑りが発生している秩父・二瀬ダムをルポした。完成したのは1961年。なんと50年も前だ。最初に異変に気がついたのは10数年前だという。
湖畔の民宿では土台に亀裂が入り、床下にはこぶしが入るほどの割れ目。岩盤が沈んだので、床に支えの木材がかませてあった。「一生懸命かせいでも、修理代に消える状態」なのだと。
同様の亀裂は、集落のいたるところにあり、住民は、「湖の水がひくと、落ちるのがわかる」という。ダムは毎年9月に灌漑用に水をぬくが、満水時との水位の差は41メートルにもなる。
亀裂は「ダムが原因」と住民はいうが、国交省は「大雨ではないか。因果関係がまだ……」という。しかし、1988年に埼玉県が出した調査報告書のなかに、「ダム完成の翌年から、ダムの水位が下がると地滑りが発生」とあり、地滑りの原因も「ダムの湛水が地下水に変化を起こした」としている。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト