<テレビウォッチ>200年に1度の大洪水から大都市圏を守る目的で首都圏と関西の6河川で進められている大規模な『スーパー堤防』事業。
超党派国会議員が視察
おカネがあり余っていれば結構な事業だが、超党派の国会議員たちがこのほど、東京・江戸川の現場を視察し、この事業に「これこそ荒唐無稽、仕分けが必要」と。番組も「今やる必要があるのか」と取り上げた。
その滔々と流れる江戸川を井上貴博アナが訪れた。この事業の対象になっている江戸川区北小岩。川沿いの住宅地に『スーパー堤防反対』のノボリが風にはためいている。
このノボリを立てた住民の1人が反対の理由を次のように説明した。
「事業対象になっている北小岩の4丁目から8丁目は1800棟ある住宅に6700人住んでいる。それを全部取り壊し、一時何処かへ移れと。何時戻ってこられるかは未定で、精神的に追い詰められたお年寄りもいる。国による暴挙じゃないか」
しかも、計画を進める国交省によると、過去に現在の堤防が決壊し浸水騒ぎが起きたことは1度もないという。
この『スーパー堤防』事業が計画されたのは23年前。首都圏では江戸川の他、利根川、荒川、多摩川。関西では淀川と大和川の計6河川のうち延べ872.6キロが対象になっている。
「優先順位がある」
ところが、関係する自治体の都市再開発に合わせて工事を行うので遅々として進まず、これまで6790億円が投入されて完成したのは47.7キロ、工事進捗率はわずか5.5%。このペースで行けば完成は400年後になる計算だ。
視察した超党派の国会議員からも「莫大なムダ遣い。ぜひこの事業をきっちり仕分けしてもらう必要がある」との声があがった。
スタジオでは、元鳥取県知事の片山善博が「莫大な金を費やして今やる意味があるかということでしょう。他にやることがいっぱいある」。
また、TBS解説委員の川戸恵子は「こういう堤防の方法は間違っている。今は、水を逃がす遊水地をつくったり、空洞を掘って水を流すやり方。それに予算がないなか、優先順位ってありますよ」と。
コンクリートに流し込むおカネを早く堰き止めるのが先。でないと赤字はますます増えるばかりだ。