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<マッハ!弐>「マッハ!」でノンスタント、ノンワイヤー、ノンCGの怒涛の格闘アクションを見せてくれた主演のトニー・ジャーが今度は自らが監督となり、脚本と武術指導とそして主演を務める。前作はムエタイ中心のアクションだった。今回は中国拳法や日本刀に鎖鎌など、さらには酔拳までも駆使し、それをジャーがすべて披露するという武術の達人ぶりが伺える。
アクションは蹴り技よりも手技が多くて実に目まぐるしいがジャーの洗練された動きが美しい。さらに象の大群の後ろから背渡りをして先頭の象を治め、群れを制するということも。
オリジナルタイトルの方が…
しかしジャーは格闘や演技において偉才を発揮していたが、監督においてはセンスがイマイチ。タイの伝統舞踏のシーンでは美しいヒロインが現れ、ジャーも自ら舞踏を披露するのだが、ストーリーとは関係なくヒロインもその場で消えてしまう。ジャーには徹底的な武術のこだわりがあっただろうが話がつまらなく、なぜ自分とヒロインとの関係を事細かく描けないのか、ストーリーの最後の締めもあまりにも雑だった。
映画では監督がなにかを描くかはストーリーやアクションよりも大切。そもそもこの映画が「マッハ!」である必要性がわからない。なにかに基づくストーリーがあるのなら、続編でなくてジャー監督のつけた別のオリジナルのタイトルが必要。テーマさえあれば、それに見合ったキーワードをもとに別のタイトルを考えられるはずだ。ピンゲーオの2番煎じはやめて監督としてのジャーの描くエンターテイメントが観たかった。
映画には「サイコ」や「ブラッド」といったスリリングなタイトルがいっぱいある。速いだけの「マッハ!」に頼らないジャーがいたのなら、早く次の作品を見てみたい。この映画は武術だけがすごくてストーリーは子供でも思いつくようなもの。<テレビウォッチ>
ユウ・ミサト
オススメ度:☆☆