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<THE 4TH KIND>『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチがナビゲーターと主演を務めた異色スリラー。ノンフィクションかフィクションかの判断は観客に委ねられている。記録映像と再現ドラマを組み合わせた巧みな構成が新しい。
2000年10月、アラスカ州ノームでは多数の人々が行方不明になり、300人以上の住民が不眠症に悩まされていた。「白いフクロウが自分を見ている」、不眠症患者たちは一様に同じ症状を訴える。ノーム在住の心理学者アビゲイル・タイラー(ミラ・ジョヴォヴィッチ)博士は催眠療法を通じて、その謎に迫っていくのだが、治療の様子を録画したカメラには恐ろしい映像が残されていた。映画はその記録映像と共に、現在のタイラー博士へのインタビュー映像と再現ドラマで展開されていく。
リアリティとは何か
本作は、フィクションか、ノンフィクションかの判断は観客に委ねている。ただ、仮に本作を擬似ドキュメンタリーとして考えてみると、再現ドラマと記録映像の組み合わせ方が実にユニークだ。単純に交互に映し出すだけでなく、2画面分割にして、記録と再現を同時に見せるなどの工夫がしてある。そのため『ブレアウィッチプロジェクト』や『クローバーフィールド/HAKAISHA』などで用いられたビデオ映像による疑似ドキュメンタリーの手法にひとひねり加わった作品といえる。
反面、ストーリーに工夫がないのは実に惜しい。フォースカインド=第4種というタイトルの意味は一応本作の肝になる部分なので明言は避けたいが、想像はつくだろう。要するにその手の話に関する映画の典型で、何のひねりもない。「実際に起こったことのドキュメンタリー(かも)」と言われてしまえばそれまでなのだが、筆者には言い訳にしか聞こえない。とても本当にあった出来事とは見ることができなかった。
表現手法の工夫は見事だと思うが、それがそのまま映画のリアリティにつながるわけではない。優れたストーリーにはそれだけでリアリティがある。それはフィクションだろうがノンフィクションだろうが関係ない。本作はリアリティの追求を手法にだけに頼り過ぎてしまったのではないだろうか。
ただ、この映画をノンフィクションとして信じる人もいるかもしれない。それは映画の出来不出来とはまた別の話であり、そういう人々にはこれ以上の衝撃作はないだろう。<テレビウォッチ>
野崎芳史
オススメ度:☆☆