野村サッチーの自覚 悪い女房が生んだ天才ぼやき

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<テレビウォッチ> TBS「中居正広の金曜日のスマたちへ」、「金スマ」だ。夫婦波瀾万丈として、野村克也・沙知代夫妻が出演した。

   安住紳一郎アナがしきりに「なぜ離婚しないのか」と聞いているのがおかしかった。野村前監督は、女房の舵取りで言われるままに生きてるからいいんだ、と答えていた。楽天監督を辞めてからやたらとテレビに出まくっている印象だ。辞めるまでに球団とすったもんだがあり、本人としては追い出された、という意識を持っているのだろう、怨念めいたものをテレビでアピールしているようだ。この執念はすごい。こういう逆境を跳ね返すところがまた面白い。

妻は弁慶、夫は義経

   沙知代夫人は、「悪い女房が良いのだ」と逆説的なことを言う。自分で悪い女房だと自覚しているのがすごい。実際、自身との交際や脱税で夫が南海と阪神の監督を辞めるきっかけをつくっている。

   妻主導でうまくいく理由について、野村前監督は忍耐だと答えていた。実際彼は忍耐の人で、テスト生として入団し、ほどなくお払い箱になりそうになるが、地道な練習で頭角を現した。キャッチャーとして守備で活躍しながら3冠王にもなった。忍耐を実践してきた人だ。

   監督としても、ピッチャーを先発、中継ぎ、抑え、と役割分担させるシステムを日本で確立し、データ重視の野球を浸透させたのも彼だ。大きな功績を残している。

   番組では遊びで、巨人本拠地の後楽園の中華料理店へ行き、通称長嶋ソバといわれるフカヒレ入りの麺類を食べる。前監督は、長嶋(茂雄)の味がする、淡泊だ、と笑わせた。野村ソバも作ろうと、野菜などが豪華に入ったのを店に作ってもらった。値段は長嶋ソバより安くていい、なんて言ってたが、店側からそれでは儲からないし、と同じ値段にされていた。遊びとして面白かった。

   野村前監督は、劣等感をバネに頑張っている。なにくそ精神だ。今も楽天の仕打ちに対し、決然と自身の正当性と存在をアピールしているように見える。一方で、これは別番組で見たけど、前監督は、京丹後市の名誉市民を贈られ、感極まって泣き出してしまった。まずしさの中支えてくれた母や先生を思い出したのだろう。そういう純粋な所もある人だ。

   それにしても世にも珍妙な夫婦だ。夫人は、私が弁慶で夫は義経だと言っていた。前監督は何といってもぼやきが面白い。力強く笑い飛ばすエネルギーが欠ける今の時代、ぼやくしかない状況にもある。それを上手くやっているのが前監督だ。天才的だ。この女房だったからこそ、この夫のぼやきが生まれたのかもしれない。

   昔から「長嶋や王がヒマワリならオレは月見草だ」と言っていて、今も変わらないが、本心ではどうだろうか。健康面を含め、野球やテレビでの活躍は今ではオレの方が上だ、と思ってはいないだろうか。そうは決して言わないだろうが。

      吉本で 夫婦漫才 いけまっせ

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