「証拠テープ」に潜むワナ 再審布川事件

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<テレビウォッチ> えん罪だとして最高裁で再審開始が決まった(12月14日)布川事件で、有罪の唯一の根拠だった自白テープを「スパモニ」が入手した。テープは見事に編集されていて、裁判官をもだましたことが明らかになった。

   「だから、部分可視化ではだめなんだ」とえん罪の当事者、杉山卓男さん(63)と桜井昌司さん(62)はいう。「これでは、われわれと同じ手法で犯人を作ることができる」

   逮捕されたとき、2人は20歳と21歳だった。殺人容疑で起訴され、ともに公判では否認、最高裁まで争ったが、法定で流された取り調べのテープが決め手となって、無期懲役が確定。29年間服役して1996年に仮出獄し、いまも仮釈放のままだ。

   そのテープ。「実は、足縛っただけじゃなくて首絞めました」(桜井)、「首絞めてるので、オイやめろよといったら、死んでるのが分かってやめた」(杉山)と実にスラスラと話している。「これ聞いたら、絶対やってると思いますよね」と桜井本人もいう。

   1審の裁判官も、「よどみなくスラスラと。経験したものでなければ言えない」といったほどだったが、分析すると、テープは編集されており、巧みに演出されていた。

   さらに、再審請求段階では、検察が証拠を隠していたこともわかった。その中には、2人が犯人ではないことを示す毛髪鑑定結果や目撃証言もあった。弁護団長は、「未提出資料が段ボール9個分もある」という。

   再審請求の高裁段階から追っている鳥越俊太郎は、「以前から録音はされているのだが、みんな部分だから問題。刑事訴訟法では、自供に任意性が重んじられるから、よどみなくスラスラとなると裁判官もだまされる」という。

   赤江珠緒は、「朝から晩まで犯人扱いされると、心が折れてしまうことがあるということですよね」

   吉永みち子は、「全面可視化に反対しているのは、紳士的な取り調べでは、真犯人を逃すことがあるかもしれないが、それでもえん罪はいけないという哲学的な強い意志が必要」

   鳥越は、「警察や検察は真実を引き出す技術を磨かないといけない」

   松尾貴史も「全面可視化したら、落とせるものが落とせなくなるというのは、話が逆だろう」という。

   民主党はマニフェストで、取り調べの全面可視化をいっている。鳥越のインタビューに中井国家公安委員長は「次の解散・総選挙までに、完全可視化にする」といっていた。早い方がいい。いまもえん罪は作られている可能性があるのだから。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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