(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション (C)「2009 ワンピース」製作委員会
<ONE PIECE FILM STRONG WORLD>累計発行部数が1憶7600万部を突破し、絶大な人気を誇る国民的漫画『ONE PIECE』。同作は『週刊少年ジャンプ』で1997年から連載が続いており、99年にスタートしたテレビアニメも今年で10周年を迎えた。そして今回の『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』は、劇場版の記念すべき第10弾ということで、原作者である尾田栄一郎が自ら映画のストーリーを書き下ろし、製作総指揮も務めている。
時は大海賊時代。海賊王を目指す主人公、モンキー・D・ルフィとその一味は、順調に航海を続けていた。しかしそこに自分たちの故郷が壊滅の危機にあるというニュースが飛び込んでくる。引き返そうとしたルフィたちだったが、上空から突如現れた伝説の海賊『金獅子』のシキに、仲間の航海士であるナミが連れ去られてしまう――。
ナミに注目
この映画のコンセプトはズバリ「興奮」。これは作者自らも公言している。「感動」のプロットがすでに出来上がっていたにも拘らず、それを取り止めてまで「興奮」をテーマに物語を練り直したというのだから、そのこだわりは半端無い。
物語自体ははっきり言って王道中の王道。何がどう王道かというと、全くもって期待を裏切らず、誰もが安心して見ていられるストーリー展開だということ。新しい島での冒険、仲間の危機、そして敵との対決……。この手のジャンルは、ある程度の流れが出来上がってしまっている。しかし、だからといってつまらないかと言うと、決してそんなことはない。
そもそも『ONE PIECE』は少年漫画だ。そして今回の映画では、あくまで『少年たちがワクワクすること』に重点が置かれている。原作ではときに「そうきたか!」と思わず唸ってしまうストーリー展開をみせるが、これはアニメだ。むしろこの王道展開にこそ昔自分が見ていたアニメや漫画の懐かしさを感じ、嬉しくもなる。
注目して欲しいのは細かい設定と、その再現度だ。『ONE PIECE』は独創的なストーリーやキャラクター、またその世界観がユニークなのが魅力である。しかし過去の劇場版では、残念ながらそれらを上手く生かせず、内容そのものがぶっ飛んでいる作品もある。それが今回の『~STRONG WORLD』では、キャラクターの生かし方やセリフはもちろんのこと、画面に映る世界観や雰囲気まで、まさに尾田ワールド。設定画を見ると、本当に細部に至るまで原作者が細かく演出の指示を出しているのが分かる。もちろん、それにきっちりと応えてくれた境監督の功績は言うまでもない。
あまりこの作品に「感動」という要素の期待を持たなければ誰でも楽しめるし、文字通り「興奮」することが出来るかも知れない。少年目線でルフィたちの活躍に興奮するも良し。尾田ワールドの徹底ぶりに感動して興奮するのも良し。その箇所は人によりけりだが、これだけは言えよう。本作での1番の「興奮」要素は間違いなくナミである!!<テレビウォッチ>
巴麻衣
オススメ度:☆☆☆☆