「派遣村村民」の1年後 「役立たず」の国の支援とは

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<テレビウォッチ>昨2008年の暮れから正月にかけて、仕事や生活の場を失った人たちが集まった東京・日比谷公園の『年越し派遣村』。雇用不安が一向に改善されないまま、ちょうど1年が過ぎた。

   かつての『村民』たちはどのような暮らをしているのか。番組の追跡取材で、1年が過ぎた今も、大半は仕事が見つからず、社会からの疎外感を募らせながら生活保護で暮らす実態が浮かび上がった。

「仕事が見つかった」12%

   同時に、失業者のニーズに一致しない職業訓練、『年齢不問』と言いながら現に存在する『年齢差別』、『非正規社員』に相変わらずこだわる企業など、再就職を阻む「見えざるカベ」も明らかになった。

   派遣村実行委員会が今年6月、元村民のその後を調査(630人のうち108人が回答)した。

   それによると、仕事が見つかった12%、そのうち正規社員はわずか5%、引き続き求職中51%、(病気などで)仕事を探していない28%、不明9%だった。

   調査用紙には「不安で眠れない」「何度行っても断られる」といった悲鳴が多く書きこまれていたという。

   国谷裕子キャスターは「1度失業すると再雇用の手掛かりがつかみにくく、雇用を通じた社会参加の機会を奪われて孤立化する状況をこのデータは物語っていますね」と顔を曇らせる。

   番組は、その元村民のひとり、46歳の男性の1年を追った。男性は右目失明のハンデを乗り越えながら、派遣会社の社員としてフォークリフトの運転で物流の現場を渡り歩き、17年のキャリアを積んできた。

   ところが昨年4月、病気悪化を理由に派遣会社から解雇を言い渡される。その後はネットカフェを転々としながら日雇いの仕事に従事。しかし、その日雇いの仕事も激減した。

   ついに食事までこと欠くようになり訪ねたのが年越し派遣村だった。

   現在住んでいるアパートと月額8万円の生活保護費は、派遣村の支援で手にすることができたが、1年経った今も仕事は見つかっていない。

   ハローワークには何度も行った。『年齢不問』と書かれた求人票に惹かれ会社を訪れると、書類選考で不採用になるケースばかりだった。

   2年前の法改正で『年齢差別』が原則禁止になった。そこで企業は求人票の採用条件に『年齢不問』と書く。が、現実には『年齢差別』は変わっていないのだ。

   男性は、こうした『見えないカベ』に再就職の道を阻まれ続ける悲哀、挫折から、安定した『正社員』の再就職にこだわる。

   最近、フォークリフト運転経験者を契約社員なら採用するという会社が巡り合ったが、熟慮のすえ断った。

   万一、また解雇になった場合に再び生活保護を受けられるのか。ネットカフェを転々とした辛い生活が頭をかすめ、正社員にこだわったからだ。

文   モンブラン
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