(C)2009 「なくもんか」製作委員会
<なくもんか>善人通り商店街の「デリカの山ちゃん」で捨てられた祐太(阿部サダヲ)は、店主夫婦に実の息子のように育てられる。バカがつくほど働き者に育った祐太は、主人の亡き後、山ちゃんを引き継ぐ。
そこへ、出て行ったはずの店主夫婦の一人娘・徹子(竹内結子)が別人のように美しくなって戻ってくる。祐太は、父親も知らない2人の子供まで連れて帰ってきた彼女と、なんの躊躇もなく結婚。幸せに満ちているように見えた祐太だったが、彼にはまだ会ったことのない弟・祐介(瑛太)がいた。脚本・監督は『舞妓Haaaan!!!』の宮藤官九郎、水田伸生コンビ。
阿部サダヲの演技力に拍手
祐太はなぜいつも笑っていられるのか。家族の絆とは何か。その疑問を抱き、それが最後にわかるという、映画のテーマはそこにあった。
「なくもんか」の心を胸に、日々善人でいようとする祐太。でも意外と涙もろい。大介(塚本高史)の書いたニセ自伝で号泣し、妻の徹子に「よそで泣いてくれるかな!」と怒られることも。
商店街きっての超八方美人で、人の頼みならなんでも聞いてしまう祐太。犬の散歩から弁当の配達までこなし、ご近所の電球まで取り替えてあげる。口癖は「好きでやっているんです」。しかし、その心の中の本当に本当はどうなのか。
祐太とは対照的に、幼い頃から誰からも愛されずに育った弟・祐介。彼はお笑いコンビ「金城ブラザーズ」として一躍ブレイクするも、笑いを仕事のためとしか思っておらず、心の底から笑っていない。せっかく再会した祐太にも「兄さんは心の底から笑っていない」、「笑顔が顔に貼り付いているだけ」と指摘する。
難しい問題だが、「不幸は笑える」と言った大介の言葉が、祐介の言葉と重なって、重みのある言葉として聞こえた。2人の子供との関係、弟との絆、祐太にはさまざまな試練が課せられる。
そんな祐太は日曜日の夜になると、どこかへ出かける。そして翌日、いつも以上に元気になって帰ってくる。そんな祐太を不審に思う徹子。一体、日曜の夜に何をしているのか? 爆笑の秘密も必見である。
他にも、徹子の母親(いしだあゆみ)のおちゃめなツッコミや、最後までとことんろくでもない祐太の父親(伊原剛志)の姿など、笑いの要素も満載だ。ここまでやるのか! と、阿部サダヲの演技力にも拍手を贈りたい。<テレビウォッチ>
PEKO
オススメ度☆☆☆