企業社会の闇えぐる迫力 3時間超もへっちゃら(沈まぬ太陽)

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(C)2009 「沈まぬ太陽」製作委員会
(C)2009 「沈まぬ太陽」製作委員会

   <沈まぬ太陽>「沈まぬ太陽」は実在の日本航空社員をモデルにしたともいわれる彼の企業との戦いをリアルに描いたフィクション(原作・山崎豊子)である。1985年の御巣鷹山での事故がおきたあとの騒動をオーバーラップさせた社会派長編映画。

   キャリア組の腐敗した運営方針に1人の人間として必死に闘う恩地の生き様を描く。映画は主人公の恩地役に渡辺謙のほか、ライバルの行天役に三浦友和、新会長の国見役に石坂浩二、その他大勢のキャストが豪華出演、監督は若松節朗。

心理的に圧倒

   主人公、恩地元は労働組合の委員長として、不当な労働を迫る会社に対し労働条件の改善を訴え続けてきた。しかし上層部を敵に回してしまい、カラチ、テヘラン、そしてナイロビと9年にわたり左遷を繰り返される。しかも日本に帰ってきても閑職に就かされ数年後、あの御巣鷹山の事故はおこる。

   空の安全という課題に真摯に取り組む1人の男の映画。ねちっこいキャリアも登場し恋愛話も少しあり。恩地の娘の縁談が事故の影響で破綻しそうになるなど、波乱万丈な人生を堪能できる。だが獣臭い考えの持ち主は存在せず「謙さんかっこいい!」という場面は特にない。しかし言葉と態度ですべてを語る豊子ドラマは心理的に圧倒される。

   3時間超という長丁場で初めは「見る気がしないな~」と思っていたが、実際見ていると決して苦痛ではなかった。連続ドラマを4本分くらい一気に見ているようなので、時間さえ気にしなければだれでも楽しめる。

   ただお偉いさん方の会食シーンはもうウンザリ。本当に「映画だな」と感じるのはラストに恩地が再び左遷されたあとのアフリカのシーンだ。「沈まぬ太陽」とは人間の灯す消えない希望のことだ。彼が感じ続けてきた企業社会の闇がアフリカの光に包まれる光景をどうぞ映画でもご覧ください。<テレビウォッチ

ユウ・ミサト

   オススメ度:☆☆☆

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