「首相のスキャンダル」 今の週刊誌は書くかビビるか(上)

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「本人承諾なし」の写真ダメ?

   そこまで考えて、それでもやり抜こうという覚悟のある編集長がいるとは思えない。日本一危険な編集者といわれた私でも、二の足を踏むだろう。

   その上、11月18日に東京高裁でこういう判決がでた。貴乃花親方夫妻が兄・若乃花との遺産相続争いの渦中にあったとき、フライデーが報じた内容の一部と、路上や新幹線の中で撮られた写真が名誉毀損、プライバシー侵害に当たると、貴乃花側が訴えていた裁判で、名誉毀損に当たるから賠償金を払えという判決とともに、写真を撮ったことを、「本人の承諾を得ず、秘密裏に撮影したもので、社会生活上、受忍すべき限度を超えたものであって、人格的利益を侵害するもの」と断じたのである。

   これからは、芸能人が人目を忍んで逢い引き(古いね!)する姿を、本人の承諾をえないで隠し撮りすることはまかりならんということになりはしないか。これはフライデーへの死刑宣告と同時に、メディア全体を萎縮させると、田原総一朗氏は警告する。

「これを拡大解釈しすぎるとメディアの取材はほとんど許されなくなり、ひいては社会が崩壊する危険があることを認識するべきです。その意味で、今回の判決は行きすぎだと思います」

   司法によって手足を縛られ、恫喝されている週刊誌に未来はあるのか。暗く重たい問題を抱えながら、それでも週刊誌は、今週も精一杯、小沢・鳩山政権を責め立てている。<(下)に続く

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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