「本人承諾なし」の写真ダメ?
そこまで考えて、それでもやり抜こうという覚悟のある編集長がいるとは思えない。日本一危険な編集者といわれた私でも、二の足を踏むだろう。
その上、11月18日に東京高裁でこういう判決がでた。貴乃花親方夫妻が兄・若乃花との遺産相続争いの渦中にあったとき、フライデーが報じた内容の一部と、路上や新幹線の中で撮られた写真が名誉毀損、プライバシー侵害に当たると、貴乃花側が訴えていた裁判で、名誉毀損に当たるから賠償金を払えという判決とともに、写真を撮ったことを、「本人の承諾を得ず、秘密裏に撮影したもので、社会生活上、受忍すべき限度を超えたものであって、人格的利益を侵害するもの」と断じたのである。
これからは、芸能人が人目を忍んで逢い引き(古いね!)する姿を、本人の承諾をえないで隠し撮りすることはまかりならんということになりはしないか。これはフライデーへの死刑宣告と同時に、メディア全体を萎縮させると、田原総一朗氏は警告する。
「これを拡大解釈しすぎるとメディアの取材はほとんど許されなくなり、ひいては社会が崩壊する危険があることを認識するべきです。その意味で、今回の判決は行きすぎだと思います」
司法によって手足を縛られ、恫喝されている週刊誌に未来はあるのか。暗く重たい問題を抱えながら、それでも週刊誌は、今週も精一杯、小沢・鳩山政権を責め立てている。<(下)に続く>