子ども手当で安心できる?
妻に死なれた慎一は、当初は「よくやってくれた」と医師らに感謝しているが、弁護士の訪問を受けるうちに疑惑が広がり、奈智たちを告訴する。弁護士の唆(そそのか)し方をいかにも狡猾そうに描いているのは、奈智の側に立っているからか。遺族のやり場のない気持ちにつけ込み、訴訟に持ち込んで巨利を得ようとする弁護士の存在はアメリカではよくあると聞いていたが、いよいよ日本でも増えてきたということか。
産科医長役の松下由樹はさすが安定した演技で、重厚さすら漂わせている。婦人科医長役は中村橋之助。歌舞伎の演技はテレビドラマと質が違うので、歌舞伎役者が現代劇ドラマに出るとしばしば違和感が生じてしまうが、これは自然さの範囲内に収まっている。
奈智がどうしてこんなに頑(かたく)なな人間になってしまったのか、それが徐々に解き明かされていくらしい。母の死とかいろいろあるようだが、はたして説得力があるのだろうか。
それにしても、少子化対策としては、2万6000円の子ども手当を配るより、安心して出産でき、働きながら子育てできるような態勢を整える方が先決なんじゃないだろうか。<テレビウォッチ>
カモノ・ハシ