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<私の中のあなた>主人公である11歳のアナ(アビゲイル・ブレスリン)は、白血病の姉ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)に臓器を提供するため、遺伝子操作でつくられた。生まれてから骨髄移植や輸血など、アナは自分の一部を姉のために提供することを強いられていた。そんなアナが両親を相手に、臓器移植を拒否するという訴えを起こす。実話を基にした小説が原作。
アナを取り巻く家族。白血病の姉、ケイト。その弟、ジェシー(エヴァン・エリングソン)、母親のサラ(キャメロン・ディアス)と父親のブライアン(ジェイソン・パトリック)。この5人の家族みんなが、とても幸せそうに暮らしている。過酷な運命にさらされて生きながら、普通の家族と同じ、いやそれ以上にこの家族は愛に溢れているのだ。そんな中で、ケイトは自分の短い一生を悟って、家族や恋人の写真を貼りつけたノートをつくる。
ページごとにつまった思い出たちが、劇中、アナのナレーションとともに、何度もよみがえる。それは、自分のために人生を犠牲にした家族に、心から感謝するケイトの思いでもあった。
特に母親のサラは人生のすべてをケイトに捧げていた。弁護士のキャリアも捨て、娘のために髪をスキンヘッドにすることもいとわない。母親は強い。
この映画の主人公は、本当はサラではないかと思う。サラのケイトに対する深い愛情こそが、この映画の中で最大のキーポイントとなっている。
アナは、ケイトのために「つくられた存在」でありながらも、ケイトとは心の内を語り合える仲の良い姉妹であった。
髪は抜け落ち、痛みに苦しむケイトの姿を前にして、アナは幼くして現実を知る。そして、自分なりの答えを出す。
また、病魔と闘うケイトに希望の光を注いでくれたのが、同じ病のテイラーだった。ケイトの淡い初恋は、物語にまた違った感動とせつなさをくれる。
もし自分が誰かを助けるために「つくられた存在」であったら。
自分の存在価値をきっと考えるけれど、「生まれてきたこと」だけで、誰でも同じように愛される理由にはならないのだろうか。
PEKO
オススメ度:☆☆☆