製作:日本ジャーナリスト専門学校 配給:マジックアワー
<行旅死亡人>ノンフィクション作家を目指す滝川ミサキ(藤堂 海)のもとに、ある日突然、不思議な電話がかかってくる。それは「タキガワミサキさんが急病で倒れ、病院に搬送されました」というもの。えっ?私はここにいますけど……?? いつのまにか、全くの別人が自分の住民票を使って生活していたのだ。ミサキは、友人・アスカ(阿久沢 麗加)と病院へ向い、ナゾの女の正体と真相を究明しようと動き出す。
『行旅死亡人(こうりょしぼうにん)』という言葉をご存じだろうか。それは、飢えや寒さ、病気もしくは自殺や他殺と推定される原因で死亡し、氏名や住所、本籍地などが判明せず、遺体の引き取り手もいない死者のこと。年々、この行旅死亡人は各地で増加の一途を辿っているという。
実はこの映画、日本ジャーナリスト専門学校の製作なんです。だから、という訳ではないのですが、この「行旅死亡人」、映画の題材にはうってつけではないでしょうか。不謹慎と言われるかもしれませんが……。「死んだ人間は一体誰なのか」という掴みだけですでに「ミステリー調」になっていて関心を引きますが、さらに「もう1人の自分がいた」という要素をプラスしたことで、この映画はより謎が際立つ形になっていると思います。
『行旅死亡人』というタイトルは、一見暗そうな映画だという印象を与えかねません。しかし、逆にそのタイトルは非常にキャッチーであり、インパクトも大だ、と感じるのですが如何でしょうか。映画を「見たい」「見たくない」は別としても、どこか頭の中でタイトルのフレーズが印象強く残る、とは思いませんか?
映画の展開に戻ると、やがてミサキは自分の名を名乗っていた女に、驚くべき真実があったことを知ります。映画はそこに辿り着くまでの流れがやや緩慢で、なんとな~くオチも読めてしまうのですが、全体的に社会派サスペンスとして十分な見応えがあります。
巴麻衣
オススメ度☆☆☆