配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
<マイケル・ジャクソンTHIS IS IT>2009年6月に急逝したマイケル・ジャクソン。彼が死の直前まで行っていた、ロンドン公演のリハーサル映像を編集したドキュメンタリー。監督はロンドン公演のクリエーティブ・パートナーにもなる予定だったケニー・オルテガ。
満席の劇場。スクリーンに映し出される、今はなきマイケル。でも彼は確かに、腕を高々とあげ、全盛期と同じく輝いていた。高音ボイスでシャウトし、あのステップも健在だ。厳しいオーディションで勝ち残った一流のバックダンサーたちと、一糸乱れぬ動きで踊るその姿には、感動すら覚えた。マイケルのファンが心待ちにしていた姿が、スクリーンの中にあった。
このロンドン公演では最後のツアーということもあってか、今まで以上にさまざまな仕掛けが施されていた。スムーズ・クリミナルのときはPV同様、白スーツに身を包んだマイケルが悪者と戦うというシーンがあったが、さらにレベルアップして、映画仕立てのようになっていた。そして窓を突き破って逃げる演出も派手だった。スリラーのときはエキストラ一人ひとりに凝った特殊メイクを施し、布製の幽霊が空を飛んだ。また、ビリー・ジーンでのマイケルのステップは、思わず息をのむほど素晴らしかった。
リハーサル映像が印象に残った一方で、もうひとつ印象に残ったことがあった。それは間違いなくマイケルがキング・オブ・ポップということだった。しかし、彼はファンに対してもスタッフに対しても、誰に対してもとにかく謙虚で、とても優しい人なのだ。スタッフやサポートメンバーみんながマイケルと一緒に仕事ができることを誇りにし、夢が叶ったと言って笑顔を見せていた。
ロンドン公演は今のマイケルの体では難しい。もうムーンウォークも踊れないだろうし、かつてのように歌えるのかどうか……そんなことを噂していた人に、このマイケルの姿を見てほしい。もしマイケルが生きていたなら、最高のショーを私たちに見せてくれたはずだ。<テレビウォッチ>
PEKO
オススメ度:☆☆☆☆