<テレビウォッチ>整形をすると顔がずいぶん変わる――ことが最近はけっこうな話題であるが、ファッションや髪型、表情、化粧などでも、人に与える印象をかなり変えることはできるだろう。
タレントなんかは、それでどんどん垢抜けていく人も多い。が、同じようにテレビによく出る職業でも、日本の政治家などは続ければ続けるほど人相が悪くなり、いかにも腹に一物ありそうな顔になっていくのがどうにも不思議だ。
まるで新春対談?
今回の放送「どこへ行く『日米関係』」は、実質的にはほぼ「岡田克也外相に聞く、沖縄基地問題」であった。度々アップで映る外相をまじまじと見るにつけ、国政の中枢に近づくことは「政治家顔」の進行に拍車をかけるのだろうと確信することができた。
まあ、あるいは外相は単に非常に疲れているのかもしれない。まるでガンと闘う高齢のジャーナリストのように顔色は優れず、KAT-TUNの赤西仁のようにクールなボソボソしゃべりだった。
インタビュー収録場所の外務省大臣接見室は和風のつくり。室内には松のボンサイや花が飾られ、どうも安手の新春対談っぽい雰囲気である。常日頃、安定感の象徴のような国谷裕子キャスターも、華のない大臣との絵づくりを意識したのか、ゴールドチェーンの太いネックレスをつけ、スカートから美脚をのぞかせている。視聴者的には画面のどこを見ても落ち着かず、戸惑うばかりであった。
「これまでの合意が最善だと…」
さて、吃緊の普天間基地問題については、嘉手納基地統合案を口にし、一説によれば固執していると伝えられる大臣だが、「とりあえず検証することが大事」といった感じで、そうこだわってるようには見えない。過去の政府間合意は重要であり、ゼロベースからの見直しで時間をかけて、その間危険な普天間を放置することはできない的なことを言うあたりは、名護市辺野古への移設を推進しているようにも聞こえた。
途中、米国のオバマ大統領の最新インタビューが挿入された。「新政府(鳩山政権)は検証の結果として、これまでの日米合意が最善だと判断すると信じている」。国防省筋だけでなく、ついに大統領直々にプレッシャーをかけてきたのだった。昨今は国内の人気低下が伝えられる大統領だが、表情には精彩があり、語り口は相変わらず力強かった。もっとも、そうした印象は、「対照」によってかなり強調されていたのはたしかである。
ボンド柳生
* NHKクローズアップ現代(2009年11月10日放送)