(C)Alfama Films,Skopia Films
<アンナと過ごした4日間>ポーランドのさびれた田舎町にある病院の焼却施設で働き、病気の祖母を世話しながら暮らす独身の中年男、レオン。彼の唯一の楽しみは、向いの看護師寮に住むアンナの部屋を毎晩のぞき見ることだ。
ある晩、レオンはついにアンナが寝ているときに彼女の部屋に忍び込む。その晩から『アンナと過ごした4日間』は始まった。
じわじわと心に
ポーランドの巨匠、イエジー・スコリモフスキ監督の最新作。2008年東京国際映画祭の「審査員特別賞」受賞作でもある。
日本でいま話題のストーカーの話が、遠いポーランドで作られるなんて不思議……と思っていたら、聞けば同監督は日本で実際にあったストーカーのニュースに着想を得て、本作を作ったのだという。
また、ストーカーだけじゃなく、リストラあり、介護ありと、次々とレオンを襲う不幸も、いまの日本の社会問題と重なり、より物語の悲壮さが伝わってくる。
ストーカーという行為は犯罪だけど、最後までアンナに真摯な態度を貫くレオン。本作のチラシや他の映画評などを見ても、何かと彼の『偏愛』が注目されているが、観る人はアンナの心情にもぜひ注目してもらいたい。とくに自分の部屋で見知らぬ指輪を見つけて、それを指にはめたときのアンナの表情は秀逸だ。
「いつバレるかわからない」という緊張感を常に保ちながら迎えるラストも、大方の観客の予想を超える展開でひきつけられる。
ただし、物語は過去と現在が何度も複雑に交錯しながら進み、観る側にもある程度の読解力が求められるのでご注意を。人間の孤独、人生の滑稽さが、じわじわと心にしみる。あとから、あとから、観てよかった~と思えてくる作品だ。
バード
オススメ度:☆☆☆☆