<テレビウォッチ>10月17日にくも膜下出血で緊急入院した女優の南田洋子(76)の病状について、夫の長門裕之(75)が初めて語った。
「洋子、洋子、洋子と何度も何度も……それから『おまえ待っていろよ』といって、それが空しいことは分かってるんです」「生きてるのは、洋子じゃないんです。実は機械が、人工呼吸器で。自力の呼吸はできなくなっています」
ずっとうつむいたまま話し続ける長門が痛々しい。4年前から認知症を患う妻を献身的に介護し続け、あえてテレビカメラも引き入れて、認知症の実態を伝えてきた勇気は、大きな共感を呼んだ。同じ不幸は日本中にある。
「手術室に入る前に(医者から)、3分の1の確率で命をなくす。3分の1は植物状態。3分の1が入院前の状態に戻すこともできると」。結果は植物状態になった。
「あんな優しいね、俺を愛してくれたまなざしも、すべてをなくして植物人間化してます。洋子、かわいそうですよ」
今2009年4月にも意識障害を起こして入院。最近少し明るい兆しが見えていたのだという。
「どうすることもできない。ただ、一生分のキスをしてあげましたよ。ボクはずーっと皮膚感覚を覚えようと思って。これはさようならという意味ですね」
「何か待ってんだ俺。洋子が死ぬということを待っていなきゃ、明日に進めないような気がする。早く死んでくれじゃなくて、死ぬことをただただ見守って待つというほど無駄な時間はない。いま本当に時間が呪わしいですね」
小倉智昭「介護したことのある人はわかる。本人も苦しいし見る方も苦しいし、気持ちはいたいほどわかるが……」
前田忠明「3分の1づつというのは、ちょっと考えますよね」
小倉「スクリーンで大活躍した姿を知ってますからねぇ」
前田「それだけにね」
元気なころの、また認知症になってからの、2人の姿が次々に現れた、テレビはある意味で、冷酷なものだ。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト