(C)2009「カムイ外伝」製作委員会
<カムイ外伝>真の自由を求めて、忍の世界から足を洗う『抜け忍(ぬけにん)』となり、そのせいで『追忍(ついにん)』から追われる身となったカムイ(松山ケンイチ)。逃げて、逃げて、やっと彼がたどり着いたのは、小さな漁村だった。そこで彼は、自分の少年忍者時代に、やはり抜け忍として追忍たちと戦った末、死んだと思われていたスガル(小雪)と再会する。スガルの家族たちと生活を共にしながら、ひと時の安らぎを得たカムイだったが、追忍たちの影は確実に忍び寄っていた……。
言わずと知れた白土三平の長編アクション漫画「カムイ外伝」が原作。ちなみに、17世紀の階級社会の日本で「最下層」に生まれたカムイの成長がメインに描かれている本伝「カムイ伝」に対して、カムイが抜け忍となってからのエピソードがメインとなっているのが、この外伝だ。
監督は、「月はどっちに出ている」や「刑務所の中」、「血と骨」などの作品がある崔洋一、脚本は崔と人気脚本家・宮藤官九郎が手がけた。
出てくる登場人物のほとんどが、人並みはずれた運動能力をもつ忍者であるため、疾走シーンや、木々を軽快に跳び渡るシーン、手裏剣や必殺技を繰り出す戦闘シーンは、とてもスピード感や躍動感があって、観ていて爽快だった。ただ裏を返せば、忍者漫画の実写版であるので当然といえば当然かもしれないが、そういった描写にCGを使いまくっているのが、やや目についた。とはいえ、主演の松山ケンイチはじめ、脇を佐藤浩市、小林薫など演技に定評のある俳優が固めているので、観ていて途中で冷めるということも意外に少なかった。
もう少しだけ欲を言えば、スガルの子供らと心通わせるシーンをあれだけ長々と描くのならば、カムイの出身と差別の問題をもっと深くつっこんでほしかった。そうすれば、観ている者がより感情移入できたかも。
途中、要所でナレーション(山崎努)が入るので、原作を読んでいない人でも、問題なくストーリーに入ることができる。映画全体のイメージとしては、原作に描かれている2、3話を切り取って作られたかんじだ。
そのせいなのかはわからないが、終盤の登場人物の描かれ方がやや中途半端で、しり切れトンボのように思えた。これは原作のカムイ外伝を踏襲してのことなのか。はたまた、もしかしたら崔監督、続編を作るためにわざと!?……とも思ったのは、きっと私だけじゃないハズ。
バード
オススメ度:☆☆