<テレビウォッチ>命の瀬戸際にあるのに「助けて!!」と言わない孤立する30代男性が増えているという。
なかには孤独死の男性もいる。自ら孤立に追い込む若者たちの背景に何があるのか。芥川賞作家の平野啓一郎をゲストに迎え、追い詰められた若者の心の葛藤を取り上げた。
手紙に「助けて」
今2009年4月、福岡県北九州市門司区で、39歳の男性が自室の布団の上で孤独死していた。
地元の公立高校の部活ではラグビー部に所属し、体重も70キロあったが、亡くなった時は見る影もなく痩せていたという。
所持金はわずか9円。部屋に食べ物はなく、餓死とみられている。
調べていくうちに、助けを求める先も機会もあったことが分かった。が、それでも男性は声を上げなった。
男性は専門学校を卒業後、金融機関に正社員として就職したものの、過酷な勤務で体調をこわし退社。その後、アルバイトで生計を立てていた。
そこへさらに落とし穴が待っていた。不安定な経済状態を穴埋めするため消費者金融から150万円ほどを借金。月14万円の給料を返済にあてていたが間に合わず、多重債務の状態になった。
その消費者金融からアルバイト先に督促の電話が入るようになる。男性は同僚に迷惑がかかるからとアルバイトも辞め、いらい仕事がなくなった。
今年1月、男性は生まれて始めて市役所を訪れ、生活保護の相談をしている。この時に借金ゼロと申告。市の担当者から「39歳、健康体なら仕事はあるハズ」と言われそのまま帰っている。
大阪には唯一の身内である兄が住んでいるが、相談しなかったようだ。
亡くなる10日前、親友の母親を訪ね、ある頼みごとをした。「風をひいて何も食べていない。何か食べるものが欲しい」。その母親は、炊き込みご飯をパックに詰めて渡した。
そして10日後帰らぬ人に。部屋には、一言「助けて」と書かれた手紙が置いてあったという。