朝日「国交省の数字のウソ」
八ッ場ダム中止問題では、現代を始め、ポスト、朝日が、前原頑張れと声援を送っている。ポストの「八ッ場ダム中止反対住民『背信のゴルフコンペ』」は、中止反対派の住民で組織する「八ッ場ダム推進吾妻住民協議会」の会長で、同地区の大地主でもある萩原昭朗氏の誕生日にゴルフコンペを開き、後の誕生会に、当時の群馬県知事や国交省の八ッ場ダム工事事務所幹部が出席して、ダム推進を訴えていたと書いている。
この記事には「国交省がヒタ隠す『八ッ場ダム住民補償基準』」のリストも付いていて、宅地では1m単価が2万1100~7万4300円だが、一般的な価格では4890~2万1400円。田では1m単価が1万5300~1万9400円だが、一般的な価格では335円だとある。
「『田』が45倍、『畑』が82倍の値に」と小見出しにあり、地権者の1人は「一般の農家には現状は水田なのに畑に格下げされた人もいる。逆にダム推進派の中には、30年近く放置して木が生えている荒れ地を水田と査定されて高く買い上げてもらった人もいます」と語っている。
朝日は、保坂展人前衆院議員が、八ッ場ダムの現場を歩いて、国交省の「「数字」はウソだらけだと憤る。
「代表的なウソは、『工事の7割はすんでいて、あと3割の予算を投入すればダムができる。ここで中止するのは、かえって税金の無駄だ』というものだ。実は、『7割』というのは事業予算に対する『進捗率』に過ぎず、単に予算の7割を使っただけに過ぎない。総工費4600億円の7割は3220億円だが、あと1380億円でダムが完成するというのはダム官僚の詐術である。そもそも、水源地域対策特別措置法事業費(997億円)と水源地域対策基金事業費(178億円)を含めると約5800億円になる。さらに、国と地方が借金をして建設費用負担をしているから、将来にわたる利息を計算に入れると8800億円という公金が費やされる途方もない規模となる。しかも、この事業費が今後、さらに膨れ上がらない保証はどこにもない」(保坂氏)
こうした移転問題で様々な悲喜劇が起こることは、過去にも多々あったが、こうした政治の力の蹂躙され、泣きを見るのはいつも住民たちである。
群馬県長野原町高山欣也町長の言葉が重い。「住民は、国の方針を押しつけられ、やむを得ずここまできました。川原湯でダム建設に賛成の人なんていませんよ。(中略)それが、国の政策で軟化していく人も出てきて、最終的には疲れ果ててしまった。(中略)私どもにも闘ってきたメンツがあります。前原大臣が言うのは、ダム本体がなくなって、コレという具体的な代替案もない。そこで『何らかの措置をとる』と言われても、信用できますか。これまで57年間、翻弄され続けて、ここからさらに50年も60年も闘う気はありません。長引くのがいちばん怖い。我々が困っている原因は、国にあるのです」(朝日)
前原国交相がまずやるべきことは、この住民たちの「国への不信」を取り払ってあげることである。