特許で難癖? 儲かる新商売とは

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テレビウォッチ>ある会社の製品が、他社の特許に抵触したとして、莫大な損害賠償が発生――なんて話は珍しくもないが、このごろは、そういった特許でのカネ儲けを専門にする「訴訟ビジネス」会社が、番組によれば米国などで増えてるそうな。

   その手口は用意周到だ。ファンドなどから大がかりにカネを集め、専門家らのアドバイスを受けて、たとえば将来有望そうな新分野の製品に抵触してそうな特許を見つけ、買い集めておく。その製品が普及したころに訴訟を起こして、莫大な損害賠償を得るのだという。この手の企業はパテント・トロール(番組の呼称は『特許の怪物』)などと呼ばれて、日本企業も怪物に襲われているというのだ。

訴訟起こし和解

   精密機器メーカーのセイコーエプソンは昨2008年、米国の会社から裁判を起こされた。コピー兼プリンターの情報をパソコンで表示する仕組みが特許を侵害しているというのだ。訴えてきた会社の関連会社は「Acacia Research」 (番組の呼称はアケーシア社)。何百という訴訟を起こして、名高いトロールだった。

   「ここから、いろいろな会社が訴訟に巻き込まれているというのを見聞きしていた。いよいようちにも来てしまったと思った」とセイコーエプソンのライセンス部長は振り返る。問題となった方式は、同社のものとは違い、「ある意味、言いがかりに近い」(ライセンス部長)と判断。裁判で勝てると踏んで準備を始めたが、そう簡単ではなかった。

   裁判は米国で行われるため、資料の翻訳やらなにやら、訴訟費用は数億円。期間は、長引けば数年間はかかる。現地テキサスでの陪審員裁判では勝てるかどうかも怪しい――。と、そんな思惑を見計らったかのように、アケーシアが和解の申し入れをしてきた。セイコーエプソンもしぶしぶながら応じたという。「メーカーとしては気分は良くない。行きすぎたトロールの活動は制限してほしい」(部長)

   一方のアケーシア社はマスコミの取材にはほとんど応じないそうで、カメラはうらめしそうにビルの外観を撮っただけ。その代りと言ってはなんなんだろうが、問題の特許をかつて持っていたという発明家に番組は話を聞いた。その特許は、メーカーに売り込んだが相手にされなかったので、もう諦めていたという。それをアケーシアが6年前、高額で買い取ってくれた。「充分儲けました。ハッピーですよ」と笑いをこらえるように男性は語っていた。

ボンド柳生

   * NHKクローズアップ現代(2009年10月6日放送)

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