<テレビウォッチ>9月28日行われた自民党総裁選挙で、谷垣禎一(64)が第24代の総裁に選出された。先の総選挙での惨敗、野党転落を受けて、再生への第一歩。谷垣は「もう1回政権に復帰できるように、みんなでやろうぜ」と呼びかけた。だが、再生の道は厳しいものになる。
立候補者は他に、河野太郎と西村康稔、ともにぐっと若い46歳。選挙の争点は、小泉改革の総括、党の理念の再構築、世代交代などだった。若手の2人は、党の再建を中堅・若手を前面にと主張した。とくに河野は、「党の悪しき体質をひきずる長老は、ベンチに入るな」とまでいった。
「誰が立候補してるの?」の声も
結局党員は、結束を訴えた谷垣の経験と安定感を選んだ。国会議員199票、地方300票のうち、それぞれ120票、180票を獲得した。しかし、河野は地方票で109票を得て、世代交代への期待が根強いことをうかがわせた。
しかし、投票率は47%とかつてない低さだった。党員数も最盛期500万人といわれたのが、いま108万人。その半数以上が投票しなかったのだ。ただ、 NHKが行った世論調査では、63%が自民党の立て直しに「期待する」と答えている。無党派層に限ると65%とさらに高い。これは何を意味するのか。
党の下部の現状を追った茨城のルポが面白かった。党員投票締め切りの3日前、県議団が党員に電話で投票を呼びかけている。「関心がなくてダメなんだよね」とぼやく。この時点で投票率は1割だった。「こんなことなかった。誰が立候補してるの? なんていうんだから」
茨城の党員数は5万7000人。東京に次いで多い保守王国だ。それが選挙では、7つの小選挙区のうち1つしかとれなかった。県連会長を辞任した山口武平は、「小泉改革以降、要求が通りにくくなった。そのしっぺ返しだ」という。中央との太いパイプをテコに、長年茨城に公共事業を引いてきた実力者だ。
建設業界の幹部は、「自分の仕事のために、代議士をという時代は終わった。田舎はイコール自民党だったが、これでもし民主党がよくやれば、(次も)自民党の芽はないね」という。また、党員勧誘に歩く古参党員は、「党員のメリットは?」と聞かれて立ち往生していた。