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<30デイズ・ナイト>「死霊のはらわた」などを手がけたスプラッタムービーの名手、サム・ライミ監督によるスティーブ・ナイルズ原作のコミックの映画化。主演は「シン・シティ」で有名なジョシュ・ハートネット。30日間太陽が昇らない「極夜」を迎えた極寒のアラスカ州パウロを舞台に日光に弱い吸血鬼たちが住人たちを次々と襲う。主人公や仲間は凍える手で吸血鬼を銃で撃ち、斧で裂き、火薬や農業用の紫外線器具などあらゆる手を使って生き残るために戦うが……。
コミック原作であるために設定はぶっ飛んでいる。なにせ極夜のパウロは150キロ離れた隣町にいくこともできない、しかも何者かが町中の通信を破壊したために陸の孤島と化しているというが、アラスカでひとつの町が音信不通になったらアメリカ本土が見逃すだろうか。極夜であろうと衛星写真くらいは写るのだから、陸の孤島は大げさである。しかし、ドラマ作りは上手で主人公のエバンには離婚した妻との切ないラブストーリーがある。戦いによって2人の愛情はよみがえるか、それは極夜の明ける時に答えは出る。
吸血鬼に噛まれると噛まれたほうも吸血鬼になるというお約束はこの作品でも健在。エバンは吸血鬼となった仲間を手にかけるのだが、このときの彼は葛藤しているように見えず、実に冷たい人間に思える。あっさり殺して拍子抜けしてしまった。パウロを襲った吸血鬼たちにはさまざまな年恰好があり、中には幼女もいる。その幼女も残忍な殺され方をするので、ショック度が高い。吸血鬼にはまり役の女の子がいい。
舞台がクールな土地なら、主人公の性格もクールという最強のクーラー映画。今年は夏がずれ込んで秋から暑くなりそうだから、いまから映画館で涼んでみてはいかが?<テレビウォッチ>
ユウ・ミサト
オススメ度:☆☆☆