「希望を学問に」と現地調査 そこから浮かんできたこと

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   <テレビウォッチ>いま書店には「希望」をうたった本があふれる。「希望がないからだ」という。7月の失業率5.7%、この半年の自殺者1万7000人は、ともに史上最悪だ。これでは社会に希望がもてない。

   「希望」を学問として考える人たちがいた。「希望学」と名付けたのは、玄田有史・東大社会科学研究所教授だ。2005年から経済、歴史、哲学などの有志40人と調査、分析、討論を重ねて来た。

「希望には物語が必要」

   専門は労働経済学。ニート、フリーターとの出会いから、「社会のあり方が、若者から希望を奪っているのではないか」と感じたのがスタートだったという。「希望は若者のものでしょう。それをもてないというのは、学問として考えないわけにはいかない」

   アンケート調査で、3人に1人(36.2%)が「希望を持てない」「あっても実現できない」と答えている。格差もあった。年収1000万円以上では、「希望はある」の割合が高く、300万円以下では、希望そのものに否定的だった。学歴でも中高卒56.9%に対し、大卒以上では71.0%だった。

   物差しは格差だけではない。福井県と希望学グループが7月、福井でフォーラムを開いた。ある全国調査で、福井は貯蓄率1位、持ち家率で3位だったが、希望では44位だった。なぜ? 希望のナゾを解くカギになるかもしれない。

   玄田教授は「豊かさ、幸福は、続いてほしいもの。一方希望は、今よりいい未来を求める、あるいは悪くならないようにと、変革を求めるもの。両輪が働かないといけない」という。

   女性が活躍している企業で、期待の高い人が辞めていく。理由を調べたら1)やってもやっても先がみえない 2)(逆に)先が見えちゃった、という2つだった。

   「先が見えなくても、見えちゃっても、希望がない。そこで気がついた。希望には物語が必要だと」。人はだれも、挫折や無駄なことを経験する。それを乗り越えて自分の価値観を見いだす。これが物語だと、教授はいう。

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