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<G.I.ジョー>世界の平和を守るため、機密部隊G.I.ジョーが悪の組織に立ち向かう!
……とまぁじつにありふれた内容の映画である。近頃のアニメや戦隊モノの方がよっぽどストーリーに凝ってるぞ! と言いたくもなるが、この手の映画はストーリーがあって無いようなもの。そもそもフィギュアが元ネタなら尚更のことだ。
近頃のヒーロー映画といえば、リアリティを重視した、シリアス路線が主なスタイルとなっている。だがこの映画は、良い意味で何一つリアリティがない。ああだこうだと言われる前に「リアリティなんてそんなもん、端っから持たせる気は無い!」と言わんばかりに、ストーリー、キャラクター、物語の背景についての詳しい描写はカット。だがそれが逆にいい。単純化されて字幕見なくても平気なくらいだし、それに却って深く描かれない方が気にもならないってもんだ。考え事はせずに、観客には童心に返ってワクワクしながら楽しんで貰いたいだけなのだろう。
だからといっておもしろいかと言うと、それはまた別の話になるのである。なぜならアクションにせよ、特殊効果にせよ、すべてのシーンに『良いか悪いか』の判断を仕兼ねる微妙さが漂っているから。カッコイイのかワルイのか。斬新なのか古いのか。その展開はアリなのかナシなのか……。
例えば特殊のパワースーツを着てバロネス(悪)たちを追いかけるG.I.ジョー。高性能でハイテクなスーツなのに、見た目はただのロボコップ。それから空中で回転しながら華麗に攻撃を避けてみせるG.I.ジョー。だがその映像は『トランスフォーマー』で拝見済み。挙げればキリが無い。北極の海中に建てた悪の組織。もちろんCGだが、その映像は映画というよりゲームのワンシーンのよう。わざと手を抜いたかのような(?)微妙映像が満載だ。
そんな中でもイカしてるのが、悪女バロネスに扮するシエナ・ミラー。普段は眩いパツキン美女だが、黒髪にピチピチのボディスーツを着た彼女はとてもクールでセクシー。アクション女優としてもやっていけることを証明してみせた。ちなみにバロネスがフィギュア化された際、彼女はその出来に満足しなかったらしいが、それは無理もない。フィギュアでは彼女のバロネスの魅力は表現しきれない。
この映画で1番驚かされるのが展開の早さ。でもまぁ内容的にはどうでもいいので、早く過ぎる分には何の問題もないわけだが。ただ完全に続編作る気満々のようなので、次回作ではもう少しいろんなものを丁寧に描いて頂きたい。<テレビウォッチ>
巴麻衣
オススメ度:☆☆