<テレビウォッチ>マイケル・ジャクソンの映像発掘を続けている「スッキリ」が、とうとう「We Are The World」のメーキングつきで大合唱をノーカットで流した。いやーすごい、のひとことだ。
いまや伝説になっているこの録音は、1985年1月28日ロスのA&Mスタジオに45人ものトップスターが集まってつくりあげたもの。ハリー・ベラフォンテが発起人となって作った、アフリカ飢餓救済のための「USA(United Support of Artists) for AFRICA」の制作。スタッフ150人以上、ペプシ、ヤマハなど約300社が協力した。
加藤浩次が、「いままで流せなかったの?」
「いろいろあって、交渉の末ようやく」と青木源太。
まず1月22日、マイケル、スティービー・ワンダー、作詞作曲のライオネル・リッチー、プロデュースのクインシー・ジョーンズが集まった。エマニュエル坊や(当時14歳)の姿もあった。
そしていよいよ本番。21時からスターが続々と到着する。シンディー・ローパー、ポール・サイモン、ビリー・ジョエル、ティナ・ターナー、ダイアナ・ロス、いまは亡きレイ・チャールズ……。
まずはコーラス部分の練習。歌詞についても、意見を聞き、修正もされた。マイケルのリードで練習開始。結局録音に3時間。それが終わったところで、突然ベラフォンテの「バナナボート」の大合唱。例のリフレーン「朝日が昇れば帰れるぞ」というやつだ。ベラフォンテも「驚いたな」と大笑い。
さらに、ブルース・スプリングスティーン、ディオンヌ・ワーウィック、ボブ・ディラン……これだけの大物を集めることができたのも、直前に「アメリカン・ミュージック・アウォード」がロスで開催されていたためで、この夜が唯一のチャンスだった。
ソロパートの練習に入ると、スティービーが点字機器でレイに音程をおしえ、ピアノのまわりで歌が始まる。録音が始まってからも、クィンシーが「静かに」と怒ったり、シンディー・ローパーの奇抜なブレスレットが「雑音を出すから」とはずしたり……ハプニングも。休憩が未明の4時50分。「フィッシュバーガーが食べたいの」と歌うティナ。床に座り込むものもいる。
最終的に終わったのは8時30分だった。そうしてできあがった曲7分7秒、ノーカット完全版を「スッキリ」が流した。ライオネルの「今こそあの声に耳を傾けよう」で始まるあの歌だ。マイケルがレイがスティービーが「We Are The World」と歌う。
加藤が、「見応えありますね」
テリー伊藤が珍しく言葉少な。しかし「いいね、いいね」
あらためて、あのときは世界中がアフリカを向いていたなと、時代の空気を思い出す。マイケルが死ななければ、これも蘇ることはなかったのかなとも。