雅子妃めぐり新潮VS文春 バッシング「やや牽強付会」なのは…

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   現代は表紙に「鳩山民主300議席超え確実に!」と特筆大書。特に首都圏は民主色に染まると予測する。「検証 鳩山総理は日本を幸せにするか」の見出しだけを見ても、「財源は心配いらない」「子ども手当は悪くない」。年金制度改革には「?」だが、「自民党よりはまとも」なのだそうだ。

   朝日「民主党政権でマネーはこう動く」では、「やっぱり株価は、経済だけではなく世相を映す鏡だった。麻生太郎首相が『解散宣言』して、日経平均株価は見事に反転した。その後、7月末までの13営業日のうち12日は上がり、合わせて14%以上も高くなった」と、民主党政権への期待を膨らませる。

政権変われど「政治変わらん」

   中でも「子ども手当」は海外で高い評価をされ、これで出生率も上がると手放しの褒めようだ。「民主党銘柄」として大注目の三つ星企業は「トヨタ自動車」「ホンダ」。二つ星にも、「パナソニック」「日産自動車」や「三越伊勢丹HD」などが並んでいる。

   文春は「鳩山由紀夫・邦夫 金満帝国の『血脈』」。庶民派をアピールする鳩山由紀夫氏の資産が総額75億6000万円(普通預金などは含まれていない)にもなる。鳩山家というのは権力が妻にある家系で、かつて由紀夫氏の室蘭での女性問題のときも、幕引きを図ったのは幸夫人であったとしているが、個人献金問題を含めて、新たなスキャンダルの火種になりそうなものはない。

   私も、このまま大事が起きなければ、民主党政権はできるだろうと思うが、大勝ではなく、単独過半数ギリギリぐらいではないか。

   それは、冷静に民主党のマニフェストを読んで考えれば、疑問に思うことが多々あるからだ。定額給付金をあれだけ批判したのに、財源の裏付けのないバラマキ子ども手当が、本当に経済効果をもたらすのだろうか。年金問題を含めた社会福祉政策の弱さもあるが、1番の疑問は、官僚支配を打ち破り、政治指導に変えていくというところだ。

   世に高まる官僚不信を追い風に、官僚さえ排除すれば日本はよくなるという単純な「感情論」で霞ヶ関解体をするならば、必ず、痛いしっぺ返しを食らうことは間違いない。

   「政権交代」の4文字が、黄門様の印籠のように輝いているうちはいいが、政権を奪取したとたんに色褪せてしまうのではないか。

   文春の中で、村山富市・元総理がこう語っている。

「民主党に風が吹いているのう。政権交代も間違いなかろう。でも、政権が変わっても政治は変わらん。それが僕の見立てじゃよ。僕だって期待してないわけじゃないが、本質的に民主党は保守政党やからな。国家観は自民党とたいして変わらん」

   民主党政権になったからといってバラ色の明日が約束されるわけではない。その先にあるのは「大いなる失望」かもしれない。この国の多くの民が、それでも1度政権交代させてみようと考えるのは、民主党への期待からではなく、それほど現実に絶望しているからなのだ。そこを鳩山氏が読み間違えると、細川政権の二の舞になる。

   文春、新潮ともに合併号。文春の「長嶋茂雄『読売は俺を裏切るのか』」は、長嶋氏の広報・秘書役を17年勤めた小俣進氏が、その任を解かれたことで、長嶋氏と読売の間で確執が起こっているという。

   あまりにも長嶋家のプライバシーを知りすぎた彼を切り、読売側は、長嶋氏とのパイプを長男の一茂一本にしぼろうとして、長嶋氏の怒りを買ったのだ。

   読売を巻き込んだ長嶋父子の泥沼劇は、これからが本番のようである。
   雅子妃バッシングは女性誌の売り物だが、今週は、文春と新潮が特集を組んでいる。しかも、その論調が正反対なのが面白い。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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