「がん闘病」企業の無理解と偏見 患者の「三重苦」とは

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   <テレビウォッチ>2夜連続の「がんとともに」。2日目の今夜は「『働き盛り』失業の不安」である。NHKが全国1200人のがん患者を対象に行ったアンケートでは、3人に1人ががんをきっかけに仕事を辞めざるをえなくなったそうだ。番組の主張は、ガンになった人間に企業は冷たい、ということらしい。

「これだけ頑張っても…」

   白血病になった会社員男性は休職制度を利用して闘病していた。しかし会社の就業規則では期間は2年まで。その後は準社員としての契約を余儀なくされて、収入は激減。

   ある中小企業の課長は、胃ガンを経て職場復帰したものの、後遺症などで思うように仕事ができない。数か月後、突然上司に「課長職は解く」と告げられると同時に、「いま辞めれば傷病手当がつく」などと退職を勧めるようなことを言われて、「腹が立った」。結局、退職したという。

   ガンのなかでも治療が難しい悪性リンパ腫にかかった女性のケース。7年間の闘病の末、完治。再就職を目指して就職活動するが、採用担当からは「スキルは問題ないんだけど、病気がねえ」などと言われる。苦しかった闘病生活も、企業からは「(職歴のない)空白の7年間」としか捉えられない。「理解してくれる方は少ない。これだけ頑張っても認めてもらえないとさみしくなります」と女性は涙ぐむ。

   スタジオゲストの山口建・静岡県立静岡がんセンター総長は、患者は「二重苦、三重苦」の状況にあるという。ガンという病気との闘いに加えて、周囲の無理解や収入が途絶える生活不安に見舞われるのだ。「企業側の無理解、偏見」があるとも言う。患者の会社の人と話すと、「ガンだから、仕事はとてもムリでしょう」などとハナから決めつける人もあるそうだ。治ればもちろんのこと、闘病中でも症状が落ち着けば就労は可能なのだそうである。

   その一方で、「治ったら働いてもらいたい。2、3か月みておけばいいですか」と、まるで骨折かなにかのように考える人もある。ガン治療は「一般的に言って、時間がかかる」。本当に治ったと言えるまでには5年かかるそうだ。

   通常の番組パターンでは、社会的問題に対しては、その解決に向けた「取り組み」(明るい光、希望)が紹介されるのだが、今回はガン患者の苦しい現状を伝えるのみ。だいぶん重苦しい雰囲気でのエンディングとなった。

ボンド柳生

   * NHKクローズアップ現代(2009年7月28日放送)

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