<テレビウォッチ>「月額1万4000円分の健康食品を購入すれば最高50万円の年金ボーナスが貰えます」――さしずめ、こういった謳い文句なのだろう。「ライフ・アップ」(以下「ラ」社)という健康食品販売会社が始めた「年金たまご」なる商法に、全国で5万人が引っかかり数十億円の被害が出ているのだという。
「ラ」社が募集し始めたのは3年ほど前。あたかも国会で年金問題がとり上げられ、国民の間に年金不安が広がった時期である。「年金たまご」とは、鳥越俊太郎も指摘するように「不安感につけこんだネーミング」ではある。
番組が取材した「ラ」社の元社員すら「全員が100%リピートすること、売上げが前月比20%増でないと成り立たないシステム」と話す。
「ラ」社が全国で開く説明会の講師は「商品を買って何もしなくてもお金が入ること自体あり得ない。このお金がどこから出てくるのか、なぜ疑問に思わなかったのか」と、食いものにされた方にも責任がある、という口ぶり。
警視庁は7月22日、出資法違反の疑いで「ラ」社を家宅捜査したが、同社の田澤吉美社長は取材陣に「出資法違反はしてません。お金は集めていませんから」と語っている。
被害者から相談を受けたという紀藤正樹弁護士は「健康食品の販売は結果的に出資のための道具に過ぎない。出資法違反の容疑は実態として当然」との見方。
報告した所太郎リポーターによると、「ラ」社は「システムトラブルのために支払いが滞っている。システムが戻れば払う」と述べているそうだ。
鳥越が指で×をつくりながら「そんなうまい話はこの世の中、絶対ありませんから」と結んだ。