<テレビウォッチ>衆院選への「出陣の日」に当たる昨日(7月21日)の自民党は「一致結束」のシナリオのなか、激しかった「麻生降ろし」の嵐も嘘のよう静まったまま。
番組は、主演をつとめた麻生首相のこの日の「喜怒哀楽」ぶりを追った。
「原則非公開」のハズだった両院議員懇談会が麻生首相の決断で急きょ「公開」に切り替わった。
その麻生首相は冒頭、それまでの「強気の麻生」から「低姿勢の麻生」に転じ、「私の不用意な発言のため、国民の皆様に不信を与え……深く反省している」と陳謝。
続けて「私の願いは1つであります。ここにいる立候補予定者は全員そろって帰ってきていただきたい事です」と締めくくり、目に涙を。
シナリオが奏功したのか、予定していた1時間の懇談会はわずか30分で終了した。
キャスターの小倉が「戻ってきてもらいたいといいながら涙を浮かべたでしょ。気持ちの上では、どのくらい戻れるのかという(哀の)感情の現れと思う」と。
さらに、一致結束のシナリオの「見せ場」が午後開かれた党代議士会で待っていた。
「麻生降ろし」の急先鋒だった中川秀直・元幹事長が、おもむろに手を挙げ「私が立ったからといって心配しないでください」と次のような発言を。
「今日の総理総裁のあいさつは非常によかった。潔く総理のご決断を受け入れる」
麻生首相はホッとしたのだろう穏やかな笑顔で、中川議員から差し出された手を取り握手を。
もっとも、党執行部が演出したシナリオ通りで終わるとはいかない。夕方行われた首相記者会見。記者の辛口質問に、首相が「激怒」。
「与党で過半数を割った場合の責任の取り方を明らかにしないというのはいかがなものか?」の質問に、首相の表情が変わり「怒」を抑えるのが精いっぱい。
「今から選挙戦を戦うんですよ。みな力の限り、必死になってあらん限りの力を振り絞ってやるのが選挙ですよ……」と。
党内には、むしろ麻生首相の「素」が出たのがよかったという声もあったという。
さて、解散から総選挙まで戦後最長の40日間を有権者は、何を見たどう判断するか??
ゲスト出演した政治ジャーナリストの角谷浩一は「この4年間政界は何をやってきたのか。自分たちは軌道修正したのかもしれないが、有権者は1票投じる方法もなかった。
このことを考えれば、4年間の通信簿とこれから先何をするのか。この2つで選択することが求められる選挙」という。
解散を引き延ばしにしてきたために、有権者にとって8月30日の1票は待ちに待った貴重な投票になった。立候補予定者同様、有権者もこの40日間をムダにすると、後でしっぺ返しが……