「日本は変わる!さらば自民」(現代)「麻生政権頓死」(朝日)「麻生自民党の最期」(文春)「怨念と妄執の解散ドラマ」(新潮)、ポストだけが少しはずして「鳩山由紀夫宰相政権投げ出しが『日本再建』の致命傷となる!」と、前号同様、民主党政権ができるという前提で特集を組んでいるが、ほかは、みんなタイトルも似ていれば、内容もほぼ同じ。
週刊誌がバカにしていた、新聞の横並びと同じで読みたい気が起きない。なぜ、週刊誌はこれほど「個性」が薄れてしまったのか。
フライデーまでが選挙予測をやっていたが、都議選で自民党が惨敗して、いよいよ解散も近いと意気込むのはわかるが、毎週、毎週、麻生首相がバカだ、アホだといわれては、こちとら読者は食傷を通り越して、正直なところ麻生の顔なんか見たくないのだ。
「小沢一郎 虚飾の支配者」にみる「仕組み」
いまやるべきことは何か。民主党政権樹立がほぼ確定的なら、いま「徹底研究」しなければならないのは、あの男しかいないはずだ。
そう、小沢一郎である。鳩山政権になろうと、彼は傀儡で、実質小沢政権が誕生するのだ。昔、中曽根内閣は田中曽根内閣と揶揄されたが、闇将軍・田中角栄がすべてを仕切っていた。だが、今度のはもっと始末が悪い。中曽根ほどのビジョンもなく、あるのは、政権欲だけだ。
弟・邦夫氏はこういっている。
「兄は、政権欲が満々の政治家ですよ。(中略)兄は韓信の股くぐりが平気でできる。辛抱強いが故に、信念がどこにあるのかわからない。だって、自民党時代に、『おれは小沢一郎の密室政治・金権政治・派閥政治、この三つを壊すんだ』と言って新党さきがけを作ったんですよ。それなのに、小沢さんの軍門に降って、小沢さんのもとで徹底的に我慢して、後継者の立場を獲得した。その強かさには頭が下がるけど、信念がないですね」(現代)
小(沢一郎)鳩(山由紀夫)政権ができたら何をしでかすのか。そこのところを選挙前に問わないで、ばかばかしい政局ネタばかりでは、あの新聞に嗤われる。
鳩山なんていいから、「小沢政権で日本はこう変わる」という30ページぐらいの大特集を組み、政権交代の是非を、有権者にもう1度考えさせることが、メディアには求められていると思う。
私の友人で現代の記者・松田賢弥氏が「小沢一郎 虚飾の支配者」を講談社から出した。
引き文句にはこうある。「誰も書かなかった、剛腕・小沢一郎の金脈! 角栄から引き継いだ『金権体質』と『権力欲』。いち早く『西松疑惑』を報じた小沢追及20年のジャーナリストが民主党を牛耳る『キングメーカー』の実像を暴く」
彼に、20年前「小沢を追え」と頼んだのは私だが、彼はまさに地を這うような取材で、小沢一郎という政治家の暗部のすべてを知る、日本で唯一の記者である。
今週の新潮で、福田和也氏が、「(小沢のやり方は=筆者注)金権政治じゃないよ。松田クンの調べによるとまるで暴力団だよ。〈建設業者が小沢に献金を続けているのは、口利きをしてもらえなくても、落札の際に邪魔されたくないという面があるんです。祭りのときの香具師がヤクザに払うみかじめ料みたいなもの。入札のための保険料といった感覚です〉という談話を、鹿島建設の幹部から引き出している。こういうことを踏まえないで、政権交代もないだろう」といっている。
飽くなき権力欲をもつ小鳩政権が、何を企んでいるのか。政権交代に惑わされて、民主党を大勝させると、小泉政権のときのように、何年間か、国民が苦しむことになるかもしれない。そのためにも、考える材料をメディアは、国民に提供するべきなのだ。
麻生政権は終わった。次は、党利党略や私利私欲のためでは動かない、国民のための政治をする「人間」を選ばなくてはいけないこと、いうまでもない。