女子大生とお年寄り「共同住宅」も 「孤独死いや」の新しい形

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   <テレビウォッチ>それでなくても、高齢になればよろず不自由になる。それが独り暮らしとなればなおさらだ。火災の恐れ、犯罪に会う不安、孤独死……といって特別擁護老人ホームは満杯、有料ホームは高すぎる。

   お年寄りの意識も変わった。「子や孫の世話にはなりたくないが、孤独死はいやだ」と。答えのひとつが、お年寄りが助け合って暮らす「共同住宅」だ。

赤ちゃんいると転倒減る

   2年前、千葉・成田にできた「ももとせ」は、建築家だった夏目幸子が作った。60代から80代の6人が住む。個室は16畳ほど。家賃11万円、入居金360万円。専門の職員はおらず、お年寄りたちが自分で食事をつくり、助け合っている。

   夏目は「100歳まで自立して生き生きと暮らす。家族ではないが家族以上の新しい関係がうまれている」という。

   80歳の女性は秋田に住んでいた。同居していた親類が亡くなり、「人の世話にはなりたくないし施設に入る立場でもない。人の役にもたちたい」と、ここを訪ねた。いまは「自分の住処。安心して暮らしてます」という。

   神奈川・伊勢原の「グループハウス欅(けやき)」では、老人6人と女子大生6人が一緒に暮らしていた。世代を超えた支え合いは、「互いにメリットがある」「若い人にエネルギーもらって、活気が生まれる」という。

   ノンフィクション作家の加藤仁は、「個室とリビングだ。さびしいというのと放っといてくれというのと」という。「OLとか、幅広い世代に関わってもらうことがいい。管理人に赤ちゃんがいただけで、老人施設に多い、転んで怪我をする数が減ったというのがある。自立するんです」

仲間看取って「安心感」

   地域の支えが柱になっている施設もあった。同じ伊勢原の「風の丘」は、設立費の7000万円に地元の出資を募った。川上道子理事長は「これで地域の関心を高めた」という。

   入居者は6人だが、地域のお年寄りがいつでも泊まれるベッドがある。独り暮らしで体調の悪いときに利用できるのだ。また、施設で作っている同じ食事を、地域のお年寄りに有料で配達もしている。3年経ったいま「風の丘」は、地域のお年寄りが集まる場所になっている。

   しかし、高齢者だけの生活で難しいのが「看取り」だ。藤沢の「COCO湘南台」(8人)では5年前、この問題に直面した。医師から「余命わずか」と告げられた当時83歳の女性が、「ここで過ごしたい」といった。

   仲間たちは彼女を最後まで看取る決心をする。地域に手紙を書き、診療所はまさかに備え、近所の主婦たちは流動食を作った。仲間たちは、彼女が立てなくなるまで、一緒に風呂に入って支えた。

   2か月後、彼女は笑顔を残して逝った。仲間たちは、「彼女のように死ねるんだ」と安心をえたという。加藤は、特養ホームでも似たような安心を与えてる例を引いて、「共同住宅の文化」という言い方をした。

   独り暮らしは、男で10人に1人、女で9人に1人だそうだ。こうした「終の住みか」をえられる人はまだ幸せなのかもしれない。レポートでは男性の姿がほとんどなかった。女性の方が長寿というだけではないのでは、と気になった。

                                        

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2009年7月13日放送)
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