仲間看取って「安心感」
地域の支えが柱になっている施設もあった。同じ伊勢原の「風の丘」は、設立費の7000万円に地元の出資を募った。川上道子理事長は「これで地域の関心を高めた」という。
入居者は6人だが、地域のお年寄りがいつでも泊まれるベッドがある。独り暮らしで体調の悪いときに利用できるのだ。また、施設で作っている同じ食事を、地域のお年寄りに有料で配達もしている。3年経ったいま「風の丘」は、地域のお年寄りが集まる場所になっている。
しかし、高齢者だけの生活で難しいのが「看取り」だ。藤沢の「COCO湘南台」(8人)では5年前、この問題に直面した。医師から「余命わずか」と告げられた当時83歳の女性が、「ここで過ごしたい」といった。
仲間たちは彼女を最後まで看取る決心をする。地域に手紙を書き、診療所はまさかに備え、近所の主婦たちは流動食を作った。仲間たちは、彼女が立てなくなるまで、一緒に風呂に入って支えた。
2か月後、彼女は笑顔を残して逝った。仲間たちは、「彼女のように死ねるんだ」と安心をえたという。加藤は、特養ホームでも似たような安心を与えてる例を引いて、「共同住宅の文化」という言い方をした。
独り暮らしは、男で10人に1人、女で9人に1人だそうだ。こうした「終の住みか」をえられる人はまだ幸せなのかもしれない。レポートでは男性の姿がほとんどなかった。女性の方が長寿というだけではないのでは、と気になった。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2009年7月13日放送)