草食は森へ行く。
正しくは、『草食男子』は『森ガール』へ行く。
彼らが求める女性像が『森ガール』との話を友人作家から聞いて、愕然とした。私の回りでも20代~30代前半男性は、ほとんどが草食系男子。これで私の勝ち目はなくなった……私だって、学生の頃は、森ガール的なファッションスタイルだったこともある。しかし、森ガールに代表される、ゆるい感じの古着ふんわりワンピースを、30歳になった女が着てみると、産後体型を隠すママファッションか、太った証拠。森ガールのゆるいパーマをかけても、私たちの場合は『ゆるい』が『とれかかった』パーマになり下がる。とほほ……
「画にしにくい」
ところで、この『草食男子』と『森ガール』。
実はテレビでは非常に取り上げにくい題材。私も幾つかの番組で、ディレクターやプロデューサーが二の足を踏んでいるのを見ている。「なんか、画にしにくいんだよね~。引きないし」と。
活字メディアでは、読者も実態や彼らの感覚がつかみやすいが、テレビ番組ではそうはいかない。情報として彼らの実態を紹介するはいいが、素材としても色気がなく、なんともオチがつけにくい。彼らには人を引きつける特徴的なキャラがなく地味。せいぜい上の世代が小馬鹿にする程度。
これは婚活も同じで、情報の一素材として扱えども、『婚活』をテーマにした番組は、ブームになってからなかなか各局で成立しなかった。ようやく婚活番組が登場したところで惨敗。やっぱり手をつけなくてよかった~と、テレビ業界の裏では誰もがほっと胸をなでおろしていた。
その逆の人物たち、それが『農ギャル』。
キャラのよさ、ハデな身なりとハデな言動、見栄を張る姿、過去の武勇伝が大好きなテレビ業界。この『ヤンキー文化』礼賛な業界は、彼女たちを喜んで取り上げたがる。ギャルの生態や言葉、ファッション、使用アイテムなどすべてにおいて個性的で、引きがあるのだ。草食や森たちが好む、ディティールの細かさやアート感覚は、一発で説明できない一方、ギャルたちは見たままで説明不要。
つまり誰にとってもわかりやすい素材なのだ。説明に資料映像や補足が必要不可欠な『草食』『森』文化に対し、ギャル文化はキャッチーな文化。さらに、彼女たちはセルフプロデュースが上手い。ギャルと農業という、格好の題材を提供してくれたのだ。面白くて強い画が作れることは容易に想像でき、こぞってテレビは取り上げた。
しかし、この『ヤンキー文化』はいったいどこまで続くのか。草食男子も森ガールも、ノーブルではないヤンキー文化とは相いれない存在だ。そこが、テレビでは取り上げにくい1番の要因でもあるかもしれない。
そして、森ガールでも農ギャルでもない私は、どこへ向かえばいいのだろうか。
モジョっこ