一押しは新潮「NHKとシルクロード『核汚染』」
文春は、巻頭の舛添総裁9・6総選挙にしても、マイケル・ジャクソン家族の謎を解く、森光子「運命の男」、朝青龍離婚の記事にしても、これまでの寄せ集め。文春らしい切れ味が、このところ鈍っているのではと心配になる。
朝日の「ひと目でわかる社員を大事にする会社 株主を大事にする会社」を期待して読んだが、ボーナスを減らさないから大事にしているという「基準」はおかしくないか。一目瞭然、同率1位は新日本石油と東京電力だが、その後は、電力会社と日本航空、大銀行が並んでいる。何のことはない、ほぼ半官半民企業と国が手厚く血税を投入したところばかりではないか。
逆に、社員に厳しい企業は、電機、自動車メーカーなどが並ぶ。要は、国にオンブにダッコしているところが、社員もボーナスの心配をしなくていい企業ということなのだ。銀行などは、いまだに年間のボーナスの平均額さえも公表しない。社員には優しくても、中小企業には厳しい「貸し剥がし、貸し渋り」では、真の優しさがあるとは思えない。
今週の一押しは新潮の「特別読物 シルクロード『核汚染』を隠蔽し続けるNHKの大罪」。札幌医科大学高田純教授が、NHKに出した公開質問状である。
そこには、シルクロードでの中国の核実験の事実を公開せよ。シルクロードの撮影に当たって、NHK取材班は、桜蘭と黒水城周辺が、核実験場であることを知りながら、そのことを隠し、シルクロードブームを煽ったことに対して、謝罪すべしとしている。
高田教授によれば、1964年から96年まで、ウイグル人が居住する東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)で46回の核実験を行い、総威力は22メガトン、広島に投下された核の1375発分に相当するという。ウイグル人ら19万人以上が数か月以内に急死し、129万人以上が白血病、ガンなどの急性放射線障害に罹ったと推定されている。
シルクロード観光は、核爆発に巻き込まれて死亡するケースや、帰国後に、白血病や肺ガンの発症が危惧される、ともしている。1985年に白血病で、27歳の若さで亡くなった夏目雅子も、「西遊記」のロケで、核実験最中のシルクロードへ赴いていたことが思い起こされる。
教授の危惧はもっともである。当時、現地を取材したNHKの人間たちは、その後どうなっているのか。NHKは、真摯に、これらの疑問に答える義務があるはずだ。