欲望も裁くのか
文春の「森光子89歳 語られざる真実」は、期待して読んだが、「秘密の暴露」は全くなし。
週刊誌を読む楽しさは、特集だけではなく、小さな連載コラムに、きらりと光るものを見つけることにある。
朝日の「東浩紀の批評するココロ」が、6月26日から審議入りした「児童買春・児童ポルノ禁止法の改正」について触れている。
この改正は、児童ポルノを売ることやつくることだけではなく、入手することも処罰の対象としている。
別の動きとして、日本製のポルノゲームが英国議会で問題になったことに端を発して、CGやアニメなどの創作物の自主規制が始まっているという。
東氏は、与党の一部に、マンガやアニメなど、現実の被害児童が存在しない表現物すら「準児童ポルノ」と定義し、法の管理下に置こうという動きがあることに危惧を抱く。
彼は、実写の児童ポルノの規制は受け入れるが、「準児童ポルノ」の違法化には断固反対だという。「なぜなら、社会が裁けるのは行為であり、欲望ではないはずだと考えるからです。たとえば、ぼくには4歳の娘がいます。娘が暴力に曝されたら、むろんぼくは厳罰を望むでしょう。しかし、かりに娘がひそかに性的視線で見つめられていたとして、それが親としてどれほど耐え難かったとしても、その視線そのものを排除するために法に訴えることはできない。それが現代の原理のはずです。(中略)議論の出発点として、法はあくまでも現実の暴力と闘うもので、欲望の検閲を行うためのものではないことは、はっきりさせておくべきではないでしょうか」(東氏)
私は、児童ポルノに興味はないが、個人的にもっていることまで、処罰の対象にすることはいかがなものかと思うが、東氏のいうように、欲望の検閲の先にある、それを理由に、ネット規制への動きが加速されることを心配する。
蛇足。このところ「フライデー」が元気がいい。編集長が替わった1号目が、小向美奈子のストリップ隠し撮りで、ロック座から法的措置を云々とやられているが、完売だそうだ。
2号目の表紙「hitomiのマタニティ・ヌード」がこれまたいい。朝日の「宮崎哲弥&川端幹人の週刊誌時評」では、「フライデー」が、リニューアルして、ただの男性グラビア誌になったとこき下ろしていたが、この2人はわかってないね。
「フライデー」の小向ストリップ隠し撮りと法的な問題について、某新聞社からコメントを求められた。私は「写真週刊誌が本来もっている役割を果たしただけのこと。ちなみに、日本の雑誌の中で、毎週、肖像権やプライバシーを真剣に考えているのは写真週刊誌なのだよ」と答えておいた。