<テレビウォッチ>少子化対策で「妊婦検診14回を無料にします」と、麻生首相が公約したのが、今年の1月。舛添厚労相も「お金がなくても出産ができるように」と4月から実施したのだが、市町村による格差は驚くべきものだった。
妊婦検診は、出産の安全確保に欠かせないものだが、1回5000円―1万円程度の費用に健康保険が使えないために、受診回数を減らしたり、受診せずに出産に至ったりして事故につながる例が少なくない。
これが無料になれば、確かに善政ではある。が、その実態はどうか。「朝ズバッ」が各地の自治体を取材してみたところ、これがバラバラ。
とくに格差が顕著に出ていたのが、大阪府。回数でも、守口市5回、泉佐野市10回、大阪市14回……。助成額でも、能勢町11万2450円から守口市の 1万2500円までの差があった。都道府県別でみても、大阪府の助成額の平均は3万9813円と全国最下位。
他県をみても、茨城・大子町のように回数無制限のところ、20回のところ、北海道・初山別村のように、1人あたり15万円というところもあった。なぜこんなことになるのか。
無料検診はこれまで5回だけで、費用分を地方交付税でみていた。4月からは9回増やして、その分の半分を国庫補助金、半分を地方交付税でまかなうという構想。計14回分すべて「無料」というのは、理屈の上ではウソではなかった。
ところが、地方交付税の使い方は自治体の裁量に任せられる。財政難の自治体ではこれを他の支出にまわしているため、無料検診の回数が少なかったり、自己負担金の額が違ったり、ということなのだった。
守口市は、(1)財政状況が厳しい(2)2年間だけの措置なので、その先を考えると続けられない、という。しかし、能勢町の中和博町長は、「子どもの育成が大事」「選挙用とは思いたくないが、継続してこそ意味がある」と人件費まで削って14回を貫いている。
当の麻生首相は、先週の都議選の応援で、相変わらず「14回無料」と叫んでいた。これは官邸のHPにも、自民党のパンフにも、そう書いてある。
みのもんたが、「無茶苦茶じゃない」
TBSの厚労省担当の牧嶋博子は、「無料だと思って病院にいったら有料で、しかも負担額が住所によってバラバラ。あなたはタダです、あなたは払ってください、ということが起こっている。病院も混乱」という。また、「少子化対策で考えるのなら、何らかの措置を考えないといけない」
舛添厚労相は5月の参院予算委で「不均衡は地方の責任じゃありませんか。首長さんもしっかりしてもらわないと」と答弁。厚労省も、市町村に働きかけると言っているそうだ。
みのが「厚労省は何考えてんだ。これは国の問題、自民党の問題だ」と、HPとパンフの絵を掲げたところで、時間切れ。
選挙目当てでやったものが、野党からの攻撃材料になるんだろうね。皮肉なこと。