<テレビウォッチ>「ほっとけない!」はホントに好調だ。きょう(6月26日)は道路の話。それも、地方の道路は何のためにつくるのか、という根っこの問題提起だ。
高知県檮原町と愛媛県久万高原町を結ぶ国道440号「地芳道路」は、全長2.9キロの9割が完成している。残るは、トンネルの中央部150メートルだけ。それが3月の国土交通省の見直しで、凍結されてしまった、というのだ。
山岳地帯で、これまでの道路は標高1100メートルの峠を越える。レポートの岡安弥生が実際に走ってみる。これが国道かと思うような狭い道、ヘアピンカーブの連続で、ガードレールがないところもある。落石や土砂崩れの危険もある。結局反対側のトンネル入り口まで50分かかった。
これがトンネルになると、安全なうえに10分で着いてしまうという。久万高原町西谷地区は、300人中200人が高齢者という集落だが、いま町立病院まで50分かかる。トンネルが通ると、反対側の檮原町の病院まで20分になる。
両町とも幹線道路になるとの期待から、用地提供で最大限協力してきた。59兆円の「道路整備中期計画」(昨年2月)のひとつだが、計画全体が「無駄遣いだ」と批判を浴びたため、国土交通省が3月18路線の凍結を決めたが、「地芳道路」が含まれてしまった。
見直しは、B/C(ビー・バイ・シー、費用便益比)に基づいて行われた。投じた費用と便益の比率。これが1以上でないと、効率が悪いことになる。結果 18路線が1以下だったのだ。
地芳道路ははじめ1.1だったが、トンネル工事での出水対策などで費用がかさみ、0.5と18路線中でも最悪になってしまった。すでに400億円が投じられて、9割ができている。が、トンネルだから抜けないことには使いようがないし、便益もあがらない。
地区住民は、「開通して初めて便益が計れるもんでしょう」という。事業評価監視委員会も「完成間近の事業を中止すべきでない」としているが、地芳道路の場合、非常時や医療での便益がどう考慮されるかになる。
「たった150メートルですよ」とみのもんたがボードをたたいてみせる。「もう必要かどうかを通り越している。ここまで作っちゃって……」と模型をみせた。
山の両側から進んだトンネルが真ん中だけ止まってる。車がトンネルに入ると、「あと150メートルで開通だったのに」という看板でストップだ。
岡安が「費用対効果で」といいかけると、みのが「費用対効果もへったくれもないでしょう。ここまでつくっちゃって」。岡安は「便益の計算のなかに非常時とか医療が入っていないので、有識者が検討を」という。みのはなおも「有識者もへったくれも……」
与良正男が、「無駄って何だろうと考えるきっかけになるでしょうね。ボクらも道路は無駄だとかいうけれど、何のために道路を作るのかも考えないと」
みのはなおも、「あと150メートルになってから、この道路が必要かどうかなんていう話じゃないでしょ」
「みのさん、開通しましたぁ」という現地の声が届くのはいつになるのか。