<テレビウォッチ>奈良県警がきのう(6月21日)、大和郡山にある医療法人雄山会の山本病院を捜索。理事長から任意で事情を聞いた。生活保護をうけている入院患者の手術や治療を装って、診療報酬を不正に受けていた疑い(詐欺)だという。
どういうことかというと、実際には検査も診療もしていない架空の医療費を請求していたというのだ。健康保険の医療費請求では、支払い基金で審査があるが、生活保護受給者は全額国費でみるために、審査がない。これを悪用した疑いがあるという。
奈良県によると、2年前に病院の関係者から匿名の投書で、そうした不正の指摘があった。県は調査の結果、診療報酬明細(レセプト)の記載内容が不十分だったため、詳しく書くよう昨2008年と今年の2回、同病院に行政指導をしたという。
県福祉部援護室では、「入院患者の5割前後が生活保護受給者というのは、他にない。検査がやや過剰でカルテの記載も不十分だった」といっている。しかし一方で、行政は書類の確認が主なので、不正を見抜くのは難しいともいう。
東京医科歯科大の川渕孝一教授は、「(生活保護受給者については)ブラックボックスみたいなもので、なかなかチェックできない。一般の診療ではコピーをもらえるが、医療扶助だともらえない。通知もこない」という。
県警の調べでは、心臓カテーテルの検査などが架空だった疑いがあるという。
同教授は「カテーテル検査だと22万円。全額公費負担ですから、まあ正しくやっているだろうという性善説にもとづく制度だ」という。
みのもんたは、「請求を作る事務の人がいるでしょ。そこへ聞けばすぐわかるのでは?」
川渕教授は「それがつるんでいるとなると、大問題ですよね」
「詐欺なんですか?」とみの。
「税金でやっている制度なので、やってたとすれば由々しきこと」(川渕)
末吉竹二郎は「やってないのに金とったら、立派な詐欺罪じゃないですか」
みのは、「日本郵政で、障害者むけの割引制度を悪用したのとおんなじだ」
杉尾秀哉が、「それもこれも、そんなことしないだろうという性善説でできている制度」
川渕教授も、「専門職集団ですからね」
末吉は、「生活保護受給者が悪いわけじゃない。制度は立派なものだ。が、それを悪用したのなら、徹底的にやらないといけない。でないと、制度そのものが細ってしまう恐れがある」
川渕教授は、「医療の見える化」と書いて、「医療機関同士で比較すると、チェックできるかもしれない」という。
みのは、「平成19年(2007)度の医療費返還の総額が55億円」というのを持ち出して、
「過払いだから還せというのが50億円もある」
川渕教授は「モラルがないと保険制度が瓦解してしまう。まずはレセプトのコピーをもらう。また通知書(どんな治療を受けたか)の確認が必要」という。
警察は、どのような診療が行われていたのか、慎重に調べるという。しかし、生活保護を受けて、しかも入院している弱い立場で、どこまで答えられるか。