配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
<ターミネーター4>今回この『ターミネーター4』は前シリーズと違い、いよいよ話は未来に移る。『ターミネーター』シリーズは今作を皮切りに、『新・3部作』の第1章として幕開けをしたのである。
監督がマック・Gに決まったとき、世界中のターミネータリアンたちから不安の声が上がっていた。しかし今まで少ししか触れてこなかった『審判の日』以後の荒廃しきった世界を、納得のいく映像で見せてくれている。「きっとこんなカンジなんだろうなぁ」と妄想していた世界観が、そのまま描かれているようだ。それに爆破や橋を壊すことは得意みたいなので、迫力のあるアクションシーンが堪能できる。まぁ良くも悪くもそれだけだが。
荒れきった街は完全に機械軍に乗っ取られ、T-600型のターミネーターが闊歩している状態。さらに飛行型やヘビ型、バイク型や巨大型まで、いろんなターミネーターがわんさかと登場する。以前は人間型のターミネーターしか出てこなかったから、新鮮で面白いんだけど………何の映画だ? これは。変わったロボならトランスフォームする方で十分だというのに。『ターミネーター』には必要の無いバリエーションだ。
本作から『ターミネーター』という映画をもっと楽しんで貰えるように、ある程度新しい要素を取り入れたのかも知れない。だがそれにしてはややこしい設定になったり、何かの映画で見たことあるようなシーンがチラホラしたり。つまり分かりづらい上に、前シリーズ(『1』と『2』に限る)を初めて見たときほど新鮮さもワクワクする感じも無い。でもシュワちゃんが一瞬登場したり(もうCMでもバラしているので言ってしまうが)、シリーズ通しておなじみのセリフを言っていたりと、今までのファンが嬉しくなるようなシーンはちゃっかりと用意されているのだ。
この映画で物語の要となっているのがマーカス。過去にある実験の被験者となったマーカスは、自分がどんな状態にされようと、この荒廃した世界で、最後まで人間らしさを忘れなかった哀しき被験者なのである。このマーカスというキャラクターは、ドラマ要素としても成り立っていたのだが、逆に主人公であるジョン・コナーの存在が薄れた。映画史の中でも有名なキャラクターを立て続けに演じたクリスチャン・ベールは、またもや主役の座を奪われてしまったようだ。
なんだかんだ言いつつも、これから先が気になる要点はいくつも出てくる。まだ少年であるカイルとジョンの未来での関係、ジョンの妻となったケイトが身籠っているジョンの子供、それから何か気になる少女・スター。そして進化していくスカイネットと、平和を取り戻そうと戦い続ける抵抗軍。『新・3部作』となって、これからどういった展開を見せてくれるのか。という点においては非常に興味深い仕上がりになっている。
でもやっぱり『ターミネーター』を見ている気がしない……。<テレビウォッチ>
巴麻衣
オススメ度:☆☆☆