<テレビウォッチ>「脳死は人の死」を前提に、家族の同意があれば15歳未満でも臓器が提供できる臓器移植法改正のA案が衆院で可決され、参院に送られた。
番組は、「脳死は人の死」を前提とする法案の行方に、特別な思いで見守っている2つの家族を密着取材した。
生まれつき重い心臓病を患い、24時間酸素チューブで命をつなぎ止めている山口真生ちゃん(4つ)。
4歳になるまですでに4回も心臓手術を受けたが好転せず、両親が託したのが心臓移植だった。
しかし、国内では、現行法で15歳未満の心臓移植は認められず、両親が募金活動を行い、アメリカでの手術が待っている。
今回の衆院通過について父親は「患者本人のことを考えると、やはり日本国内でできたほうがいい。募金活動は非常に大変だということが分かりましたし、私どもの募金活動が最後になればいいと思います」と、法案成立に期待を寄せる。
一方「生まれてきた時にへその緒が切断され「長期脳死」といわれる西村帆花ちゃん(1歳8か月)。食事はチューブで直接胃に流し、呼吸器をはずせない。
それでも生まれたとき50センチだった身長は今90センチ。髪の毛が伸びたり歯が生えたり。
母親によると「いろいろな声を出すんです。お風呂に入れると『アーツ』、ウンチした時は『ヒーッ』もちろん娘が死んでいるとは見ていないし、目に見えている部分で生きているというのを感じる」と。
そして昨日(6月18日)、「A案が可決されましたよ」に、両親は「あーそうなんだ」と言い、しばらく絶句。
確かに、心臓が動き、髪の毛が伸び、声も発するわが子が、法律で「この子は死んでいるんです」と言われたら、親はたまったものではない。
母親が次のように心境を語った。
「この子が生きる意志というものを私たちが感じ受け入れて、3人で幸せな生活を送りたい。そういう時間が許されなくなっていくんじゃないかと、すごく不安です」
スタジオでは、まずキャスターの小倉が第1声を。
「A案から投票をはじめてD案まで進めるのかなと思っていたら、いきなりA案で可決と聞いてびっくりした。だって麻生首相も反対、民主党の鳩山代表も反対しているのですからね~」
続けて小倉は次のような問題を提起した。
「『脳死を人の死』と認めた場合、治療の問題や健康保険の問題。親が周囲の人から『いくら頑張っても、もうダメなんだから、それより誰かのお役に立てたほうがいいんじゃないか』という話が絶対出てくると思う」
つまり小倉は、重要な臓器移植法改正案にもかかわらず、「現段階では十分議論がされたとは言えない」というわけだ。
政局を絡めサッサと通してしまおうというような話でないことだけは確かだ。といって法案審議を理由に解散を先延ばしするのも下の下……