<テレビウォッチ> サッカーW杯アジア最終予選の北朝鮮とサウジアラビア戦。北朝鮮が引き分けに持ち込み、本大会出場を決めた。
1966年のイングランドW杯 に初出場し、8強入りを果たして以来44年ぶりとなる北朝鮮の快挙を大村正樹リポーターが興奮気味に報告した。題して『選手たちの天国と地獄』。
「まず何がすごいかって」と大村が説明したのがグループの組み合わせ。
日本が戦ったA組は「2強3弱」といわれオーストラリアと日本が2位以内に入ることは決まっていたという。
一方、B組は北朝鮮、サウジのほか韓国、イラン、UAEいずれもW杯本大会出場経験があり、強豪ぞろい。「そこを2位で通過、これはすごいですよ」というわけだ。
NHK・BSで6月18日午前3時から放送された試合を見たという大村は「世界中で死に物狂いで戦ったのは北朝鮮ではないかと思うぐらいすごい試合をしていた。ちょっと感動し、涙ぐみました」と。
この朗報は、朝鮮中央テレビのニュースで報じられたが、相変わらずスポーツと政治がごちゃごちゃで、これもすごい。
『全軍と人民が世界中に見せつけている強盛大国建設に向けて一大転換を起こしている歴史的な時期に、サッカー選手らが成し遂げてくれた成果は、不屈の精神がもたらしたもう1つの慶事です』
で、気になるのが、本大会出場を決めた選手や監督の待遇。番組が用意したのが、1994年のアメリカW 杯予選で敗退した時の尹明燦監督(99年に脱北)の話。
「本大会に出場できるのと、できないでは、天国と地獄の差がある。出場すると、金正日総書記から家や車のほか、死ぬまで年金がもらえ、一生の生活を約束される」
ところが、予選で敗退した尹監督は、帰国後、政治関係者に何が敗因かを徹底的に反省させられたうえ1年間、工場で強制労働させられたという。
この天と地の差にキャスターの小倉は「勝った喜びは、W杯に行けるというよりも、あァ、これで強制労働しなくてすんだ。そう思わせるほどすごい喜びようだったね」と皮肉を。
FIFAランクは北朝鮮が106位、日本は31位、韓国46位。ランクからみると日本よりずっと格下のようだが、さて対戦したどうなるか……