番長清原が「現代」に説教 スキャンダル取材と「男の背中」

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   今週はスキャンダルについて書いてみたい。スキャンダルこそ出版社系週刊誌の華といってもいい。先(5)月の新潮の「鴻池官房副長官のW不倫」スキャンダルは、そのお手本といってもいい。新聞各社が1面で取り上げ、本人は辞任に追い込まれた。新聞、テレビができないことをやる、週刊誌ジャーナリズムの真骨頂である。

折口元会長の「哀愁漂う記事」

   今週は、各誌、工夫を凝らしたスキャンダルが掲載されている。現代は、「清原和博 自伝に書けない妻子への裏切り」と銘打って、いまや「文化人」になった清原と、年上の銀座ママとの「モナコ不倫」をスクープ。写真もたっぷりある。読みどころは、清原が、銀座のママの店から出て、クルマで走り去るのを記者が追っかけ、清原がクルマから出てきて、記者をこう諭すところだ。「おまえは子どもに背中を見せられるのか。こんな仕事して背中を見せられるのか。(中略)俺は子どもに背中を見せられる。足が片方ダメになっても最後まで頑張った。もう一回足がダメになっても同じことやるよ。なあ、真っ直ぐに生きようや」。このコメントを読んで吹きだしたのは、私だけではないだろう。やっぱりあんたは、文化人より番長が似合うんや。

   話は変わるが、先日、私のオフィス前の寿司屋で呑んでいると、黒服の一団が入ってきた。その後ろから、背広をビシッと着こなした桑田真澄が現れた。そこは早稲田大学の正門近くだから、大学院に行っている桑田が現れても不思議はないのだが、一瞬、ビックリした。現代によれば、週に5日大学に通い、学食でも食べているという。桑田と清原、2人の人生は、どう別れていくのだろうか。

   ポストは、かつて時代の寵児だった「グッドウイル・グループ」の折口雅博元会長が、アメリカに姿を隠しているはずなのに、美女と、六本木でデートしているのを「発見スクープ」した。それも、場所が、回転寿司ではないものの、コハダ1カン約150円、中トロでさえ約300円という、リーズナブルなところで、傍目を憚らず、破廉恥な行為に及んでいたというのだ。タダそれだけの他愛もない話だが、何となく、哀感の漂う記事である。

   お次は新潮。足利事件で17年ぶりに、DNA鑑定で犯人のものとは一致しないことがわかって釈放された菅家利和さんは、各メディアで引っ張りだこだが、当時、未熟だったDNA鑑定を持ち上げ、犯人の決め手と囃し立てたメディア側に、少しも反省の色がないのはどういうことか。また、取り調べで、暴行を受け、自白を強要されたと、菅家さんが語っているのに、そこのところを深く追及したメディアにお目にかからないのはどうしてなのか。裁判員制度が始まって、新聞テレビの自主規制が目につくが、こうした問題が解決されなければ、裁判員制度など百害あって一利無しである。

   と、ここまでにして、新潮の記事に戻ると、菅家さんを救い出した「正義の弁護士」佐藤博史氏が、詐欺紛い商法ではないかと告発されている会社の代理人で、その会社を損害賠償で訴えている人たちに、弁護士にあるまじき行為を働いて、複数の懲戒請求を申し立てられているというのだ。

   現在収監されている元ヤメ検弁護士の田中森一氏は、かつて闇の世界の守護神といわれた。極悪非道な犯罪者でも、極道でも、依頼されたら弁護するのが弁護士の仕事である。だが、これを読む限り、弁護以外のところで、やや口と手を使いすぎるようだが。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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