道路はもういいから他に… それが許されない仕組み

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「選挙では業界の支援が大きい」

   その背景に、大規模な道路事業を推し進めるために国がつくった仕組みを見過ごすことはできない。

   道路事業費の半分を国が補助金で賄い、残りを自治体が負担する。さらに自治体負担分の半分を借金(地方債)で賄えるようにしたうえで、借金の半分を交付税で補う。

   つまり小さな元手で大きな事業ができる仕組み。これを使って新しい道路が次々と建設され、同時に借金も膨らんでいったわけである。

   番組に出演した前鳥取県知事の片山善博慶大教授は、国がつくったこの借金漬けの仕組みを次のように語った。

「福祉とか教育は丸々元手がいる。道路は元手が少なくて大きな事業ができ、事業化しやすい。取りあえず何かやるとしたら道路がやりやすい。
それに選挙をやると分かるが、道路建設業界の支援が大きい。(そういう支援が大きい)業界の仕事が増えるといいなと、つい考えてしまう政治家が多いこともある」

   国主導による道路行政の聖域化、その背後にいる自民党道路族……

   片山教授はちょっぴりそこに触れたが、「道路依存体質からの脱却は容易ではないですね」で、国谷はそれ以上踏み込むことはなかった。

   ただ、言い足りなかったのか、片山教授は最後に付け加えた。

「道路特定財源は名目上なくなったが、国は予算措置を通じて道路しか使えない形で金を地方に回す。道路整備はもういいから他に使いたいといっても、道路以外に使えないいびつな形になっている。これを変えねばダメですよ」。

   このからくりからの脱却も次の総選挙で問われる大きな争点のはずなのだが……

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2009年6月3日放送)
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