<テレビウォッチ>自ら指示しながら、自ら幕を引いた麻生首相の厚労省分割を巡る顛末。
またも『ぶれる麻生首相』に、前宮城県知事の浅野史郎が「こだわっていないなら、総理は指示しちゃいけないんですよ。かかわっちゃいけないんですよ」と。
発端は,読売新聞グループの渡辺恒雄会長が厚労省分割論を提案ことから。
この提案を受け麻生首相は、『社会保障省』と『国民生活省』に分割する考えを示し、検討を指示。6月にまとめる政府の『骨太の方針』に盛り込まれることになっていた。
ところが、分割を名指しされた厚労省の舛添大臣は「私は拙速でやるべきでないと思う。図体の大きくなっているのは国交省も総務省もそうでしょう」と反対を表明。
5月28日には関係閣僚6人が集まり協議したが意見はまとまらず、縄張り争いに発展しかねないとの懸念も出る始末だった。
結局、麻生首相も振り出しに戻さざるを得なくなったか、28日夕記者団を前に次のような話を……
「最初からこだわってはない。最初からこだわったような話をつくられたんでは困るんで、基本は国民の安心・安全の立場に立って再編の検討をしたらどうですか、という話をした」
しかし、マスコミが話をつくったわけではない。今週の月曜日(25日)には河村官房長官が「総理のリーダーシップで始まったことであり、閣内でしっかり議論したい」と、明言している。
で、浅野は次のように……
「(麻生首相のブレは)これが初めてじゃんない。政府の出先機関の廃止、『農政局と整備局の廃止』とまで言ったのに、そのうちウヤムヤになった。こだわっていないなら総理は指示してはいけないんですよ。
組織論で言うなら、(2001年省庁再編で)訳の分からない形で一緒になった総務省、国交省をどうするんだという文脈でやらないと」
首相たるものが中央官庁の分割を出してはすぐ引っ込めるようでは、選挙目当ての「千慮」ならぬ「浅慮の一失」とやられるのは当然。
民主党から「何もないから、目玉にでもなるような何かをやろうか、という以上の深さを感じない」(菅直人代表代行)と、皮肉られても仕方がない。