「小さな国会」の壇上に立った太田光総理(爆笑問題)が吠えた。「二世議員は一切認めません!」。いわゆる世襲・二世問題では、「後継者」が親や親族の選挙区から立候補するのをやめさせようといった制限案は最近、国会議員の間からも出ている。
番組が衆院議員478名に匿名アンケートを取ってみると、(たったの)31名が回答。二世議員に共通する性質として、「肝心なときに逃げる」(自民党)、「親が出来なかったことを自分がかなえたい。親の敵討ちを自分がやりたいという発想や行動が見える」(民主党)、はたまた「おやじ自慢やおじいさん自慢をする議員がいる」など、二世にウンザリしてる議員がいることはたしかなようだ。
ただ、世襲を制限するというアイデア、少なくともリアル総理ら世襲議員からの受けはよくない。今回の番組でも、自民党の山本一太ら二世議員多数に加えて、東八郎の息子である東貴博ら二世タレントが大挙出演したが、これら「二世軍団」は民主党の渡辺周以外、全員がマニフェスト反対である。
そんななかで、この番組のソーリのマニフェストはリアルよりも一段と過激な内容である。「現職の二世議員は今期限りで立候補禁止」「親族に国会議員がいる人は立候補禁止」。アメとムチを使い分けるバラエティ番組の「太田総理」では、そういうエクストリーム化の必然の要請はあるにせよ、番組を通じて、二世に対するソーリの腹の底からの「悪意」は感じられた。
「二世、三世は無能だと思ってる」ソーリは、二世にじつに手厳しい。アズマックスには「東はおもしろくない」「二世じゃなければとっくに消えてる」と言いたい放題。反対派の「定期的に選挙というリストラタイムがある」(亀井亜紀子・国民新党)、「世襲で(選挙に)落ちてる人だっていっぱいいる」(田村憲久・自民党)といった反論には「そういう(落ちるべき)人が淘汰されないシステムになってることが問題」と一喝し、「世襲で落ちる奴はよっぽどバカなんだよ」と、精神的師匠筋の立川談志を彷彿とさせるしゃがれ声で吐き捨てた。
結局のところ、法案は僅差で可決されたが、視聴者からは「二世を禁止すると、各党はタレントばかり擁立して、政治の質が下がるのではないか」との懸念の声が寄せられた。政治についての国民の悩みの種は、暗愚な二世を持った親のように尽きないのである。
ボンド柳生
*太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中(日本テレビ系)